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俺のクラスの陰キャ女子が異世界で倒したはずの魔王だった件⑦

 帰宅するだけで疲れる。
 そして、真央は当然のように家まで上がってくるのな。

「あらぁ、お帰りなさい」
「ただいま戻りました、お母さま。お弁当を箱洗いますね」
「いいのよ、そこに置いておいて」
「ありがとうございます」

 俺の前では、のじゃロリ言葉なのに、対外的には普通にも話せる。
 多方面にわたって、ずるい魔王だった。

 そして当たり前のように俺の部屋でくつろぐのだ。

「いや、真央の家は隣だけど」
「勇者が細かいこと気にするな」

 真央は本棚からマンガを取ると、遠慮などせずに俺のベッドに寝転がる。

「いや、真央の家は隣だけど」
「魔王に同じことを二度言わせるな」

 真央さん?
 もう、魔王じゃないでしょ?

「やはり勇者としては成敗するしかないのか」

 すると、真央はこちらに顔を向ける。

「いいように姫に誑かされて、捨てられた口でなにを言うかと思えば……」
「き、傷口に塩を塗るのはよくないと思います!」
「たわけ。ハニートラップには気を付けろと、口を酸っぱくして忠告したじゃろ」

 うん?
 そうだっけ?

 ……。

 そうだった!

 おっぱいの大きい女には気をつけろとか。
 おっぱいを押し付けてる女は詐欺師とか。
 おっぱいの谷間は、地獄の谷間につながっているとか。

 ませた子供だなと思っていたけど、体験談だったんだね。
 ハハ。笑えない。
 心の底から笑えない。

「ごめん、貧乳のひがみだとばかり」
「こんのスカタン!」

 スリッパで頭を叩かれました。
 勇者のおれに避けられないなんて。
 さすが魔王だぜ……。

「やはり、男というのは痛い目を見ないと覚えぬものだな……」
「クソ!クソ! 認めたくないものだな! 若さゆえのあやまちを言うものを!」

 真央はマンガを閉じるとニヤリとする。

「そのすべてを克服する手段がある」
「なんだよ?」
「セックスをしよう」

 昨日から、そればっかりだな。

「そんな興味あるわけ?」

 真央は、会心の笑顔を浮かべ、両手をいっぱいに開く。

「セックス! とても興味深いぞ! 生命を次世代につなげるための根源的活動を、快楽として組み込まれた人体の神秘! それが愛する者とであれば、もうそれは奇跡というほかあるまい! 想像しただけで、下着がびしょ濡れだ!」
「他人の部屋で宣言することじゃないよ!?」

 すると真央は白けたように俺を睨む。

「勇太だって興味はあるくせに。むっつりめ」
「そりゃあるけど……お前は魔王の時の記憶も……あるだろ?」

 真央は驚いた風に目を開くと、ぷーっと噴出した。

「知らん。魔王の時も未体験のまま殺されたからな。前世からのパーフェクト処女ぞ?」
「え、勇者もびっくり」
「であろう。ゆえに興味津々であるぞ。責任を取れ」

 てらてらと目を輝かせて迫る真央。
 豪華なフルコースを前にしたような顔だ。

 でも、そうは言うが……。
 本当に、真央にそんな覚悟あるのか?

 ちょっと試してみるか。

「真央」
「なんだ?」

 そう返事する肩に手をかけると、ベッドに押し倒した。

 真央は身を守るように体を小さくした。
 驚いたように目を見開き、唇をわななかせる。

 ほら見たことか。
 いざとなったらこんなもんだよ。
 そろそろ解放してやろうか。

 ガチャ!

「あら、ごめんなさい。お取込み中だったのね」

 扉を開けて入ってきた母上。
 お菓子とお茶が乗ったお盆を持ってだ。

「違う! 違うんだ!」
「うん、避妊はしっかりね」

 お盆をテーブルに置くとそそくさと戻っていく。

「あああああああああああ!」

 失敗した! 失敗した! 失敗した!

「にへら」

 悪魔のような笑みを浮かべる魔王が見上げていた。

1件のコメント

  • いやあ、今回も勇者様振り回されてますね。w
    シャアのセリフが出たかと思えば、最後の方はシュタゲで目にした
    覚えが・・・。
    真央ちゃんが清い事にちょっとほっとしたり😸
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