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もし自分が当たったら

 僕が中学生だったある日、学校の体育館に1学年全員が集まってどこかで披露する歌の練習をしていた。
 その練習の合間に、ちゃんと歌詞を覚えているかどうか確かめるという名目で、1名が指名されてみんなの前で歌わされるという公開処刑が執行されることになった。おそらく200人以上いる生徒たちの真ん中に立って、一人で歌わされるのだ。

 メインで進行している音楽の先生の横に補佐的な立場の先生がいる。その補佐先生にランダムなクラス名と出席番号を言ってもらい、それに当たった生徒が前に出て歌うというのだ。
 どうして急にそんな罰ゲームをしなければならないのかわからないが、確率的に考えれば1%にも満たない。最初の1連でSSRを当てるより低い確率だ。きっとどこかの誰かが生贄となってくれるだろう。誰もがそう思っていた。

 先生が適当なクラス名と出席番号を口にした。
 それに該当する生徒は、紛れもなく、僕だった。

 僕は何の罪も犯していないのに、公開処刑に遭った。注目する二百何十人の前に立たされ、マイクを持たされた。
 歌詞を覚えているとかそんなレベルではなく、当然のように声が震えた。こう見えても思春期真っ只中だ(今だったら面白いことの一つや二つ言って笑わしてやる)。だけど僕はちゃんとやり切った。僕のことを指名した先生を恨んでもいいが、べつに先生にも罪はないだろう。言われたからやっただけだ。

 その後、僕にも指名権が与えられ、次に公開処刑に遭う生徒を指名した。僕がランダムに指名した相手は僕と同じバスケ部の知り合いだったので、ちょっと罪の意識が軽くなった。


 これと少し似た話を、次の長編の挿話として入れようと思っています。以前カクヨムでも同じような話をどこかで読んだ気がする。

 一人を犠牲にして、世界が救われる。その一人はランダムで決まる。
 あなたはその提案に賛成しますか?

 もし世界の誰か一人を犠牲にして、現在のコロナの一切の脅威が終結するとしたら、その提案に賛成しますか?

 おそらく、本音の部分では世の中の大部分の人が賛成するだろう。賛成しないと言い張るのはよほどの偽善者か、何十億分の一の確率を恐れる人間だ。誰か一人が犠牲になったら嫌だと考える人間はたぶんいない。もし自分がなったら嫌だから反対するのだ。

 そしてその超低確率で選ばれてしまった犠牲者を、物語の題材にする。
 犠牲者本人と、最も大切な人が犠牲者に選ばれてしまった人間の話だ。

 大切な人を犠牲にして、世界を救うか。
 それとも、大切な人を救い、世界を滅ぼすか。

 そういう話を書こうと思っています。

 というわけでみなさん、カクヨムコン頑張ってください(どういうわけだ?)。

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