久方ぶりに近況ノートを書くことにする。
作品として出せる程しっかりしてもいなければ、誰かを納得させられるとも思えない、戯言のようなものを出すことにする。
名作に逢うと、自分の今までが肯定されたかのような気分になる。
沢山の嫌なことやつまらないことがあって、お世辞にも誇れる経緯ではなかったけれども、
この作品を十全に楽しむことができて、本当に良かった。自分は自分で本当に良かったという気持ちだ。
私はこの人と逢うために生まれてきたのかもしれない……なんてドラマでも最近では言わないクサいセリフが、名作を読み、心に突き刺さった時にはするりと口から漏れてくる。
もしあの不調がなければ、私はこの作品を手に取らなかった。取ったとして、ここまで揺さぶられることはなかった。
災難も苦悩も没落も、すべてはこの時のためだったのだと理解させられる。
真っ黒な盤面の一隅が訂正されて、白く返る。今までパスしか言えなかった状態にほんの少しの手が生まれる。白と白に挟まれて、黒だったものが白に返る。
私は誰にも言えない興奮を抱えて、机とその名作の前に立つ。
名作が与えてくれたものに見合ったことを返したいと切に願う。