この物語の舞台である明治10年代初頭。 東京の路地裏で、もっとも囁かれていた噂は「西郷隆盛」の動向だったはずです。
新選組にとって、薩摩の西郷といえば、鳥羽・伏見で幕府軍を打ち破った憎き仇敵。 しかしその西郷が、今や明治政府と対立し、不穏な動きを見せている。
「あの西郷が、政府をぶっ壊すらしいぞ」 その噂を聞いた時、生き残りの隊士たちは何を思ったか。 ざまあみろと笑ったか、それとも同じ「滅びゆく武士」としてシンパシーを感じたか。
歴史の皮肉と、複雑な男心をスパイスにして、物語は進んでいきます。 混沌とする時代の空気をお楽しみください。