『【リオン】、今日どうする?』
『東の森。周回で稼ぐ』
『えー』
『えーって何だ』
『だって昨日も一昨日も、そこだったよ』
『効率がいいからだろ』
三年前のログである。
当時の俺は、狩りとは効率で回すものだと本気で信じていた。
『じゃあ行くけど、条件がある』
『条件』
『座って喋る時間、一時間ちょうだい』
『狩りの前にか』
『ううん。狩りの代わりに』
この直後、たぶん俺は数秒固まっている。
『それ、狩りって言わないだろ』
『言わないね』
『……分かった』
『やった!』
結局その夜は、東の森の入り口に二人で座り込んだまま終わった。
ログを遡っても、討伐数はゼロのままだ。
代わりに残っているのは、学校の話と、テストの話と、どうでもいい話ばかりである。
『【リオン】、今日ぜんぜん稼げてないよ』
『お前が座れって言ったんだろ』
『うん。今日は、これでいいの』
『何だそれ』
『たまには効率が悪いほうが、長くいられるでしょ?』
三年前の俺は、これに気の利いた返事をひとつも書いていない。
ただ『そうだな』とだけ打っている。
次の日のログを開くと、俺はきっちり同じ時刻にログインしていた。
東の森ではなく、その入り口に。
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