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若い女という地獄

このストーリーのテーマは「それぞれの地獄」です。
昊天さんも表の顔は冷酷でやり手の「覇道総裁」。しかし内面は非常にナイーブで、大切なものから常に逃げ回っている。
妻も、表から見れば名家の娘、総裁夫人と恵まれた立場。しかし、自らなにかを選び取ることはなく、透明な存在としてその与えられた「役割」を生きてきた。
なおここまで、彼女はヒロインでありながら名前がありません。役割で生きてきた人だから。
(1カ所だけ、昊天さんのスマホに妻の名前が出てドギマギするシーンがありましたね。彼女の名前は昊天だけが知っている。それもよいのではないでしょうか)


一方、知夏の「地獄」は、若い女という属性そのものだと思います。どれだけ努力し、名を上げても、最後に『女』というラベリングに回収されてしまう。

編集部では何か言えば「若いね」「かわいいね」。仕事で成果を出せば「気に入られている」。親からは「早く結婚しろ」。
こういうの、働く女性のみなさんは少なからず経験あるのではないでしょうか。


アーロンや昊明は、価値観も倫理観もアップデートされている今時の「いい男」たちです。しかし、やはりそこは上流の男たちなので、今回の「囲わなかったんだ」発言にあるように、少なからず「有能な女性は庇護下に置くべき」という無意識下での認識はある。
それは100%善意ではありますが、傲慢さも透けて見える。

それに対して昊天さんは、知夏の努力を認めつつも「連絡しない、評価しない」と突き放し、「囲う必要はない」と答え、最後は彼女の書くべきものを守るために「読者で居続ける」と決める。
権力者である自分が評価してしまえば、それは彼女の筆を歪める圧力になることを彼は知っている。

それは、冷酷でやり手の「覇道総裁」という社会の作り上げた役割の下にナイーブで傷つきやすい内面をもつ彼だからこその誠実さなのだと思います。



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