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◆アイアンリクイエム 用語&人物ノート #02 心種(Seed)と、“塔下でツッコむ幼馴染”ユラ

この近況ノートは

【第2話】までの、軽いネタバレ

を前提にしています。
それ以降の展開には触れていないので、
• 序章〜第2話まで読んだ方
• これから読み始める前に、世界観の雰囲気を知りたい方

向けの、用語ガイド+人物メモとして読んでもらえたらうれしいです。



用語解説:心種(しんしゅ)/Seed

ひと言でいうと――

戦場に撒かれてしまった、「心のかけら」の種。

それが、この物語で重要になっていく 心種(Seed) です。



① 目に見えない“心臓の残り火”

教本の言葉を借りるなら、
心臓はただのポンプであり、鼓動を生むエンジンです。

でも、人が戦場で倒れたとき、
そこには「肉体」だけでなく、
• 消えきらなかった願い
• 行き場を失った怒りや恐れ
• 誰かに届かなかった祈り

みたいなものが、目に見えない形で残ります。

この世界では、そうした“心の残り火”が
ある条件を満たすと、灰鉄塔の機構や大地に捕まってしまう。

それを、塔の技師や研究者たちは、

心種(Seed)

と呼んでいます。



② 「兵器」か、「祈り」か

心種は、
• うまく扱えば、塔を動かすための“追加の燃料”になる
• 放置すれば、いつか災厄のきっかけにもなり得る

という、きわどい存在です。

誰かにとっては「兵器の材料」であり、
誰かにとっては「もう一度だけ会いたい人の気配」であり、
誰かにとっては「灰鉄塔が飲み込んでしまった、見えない遺体」でもある。

同じ「Seed」という英単語の通り、
それは “何かの始まりになる種” ですが、
その芽が「希望」か「悲鳴」かは、まだ誰にもわかりません。

第2話時点では、
カガリたちはまだその本質を知りませんが、
心と塔と戦場をつなぐキーワードとして、
少しずつ影を落としていく用語です。



人物紹介:ユラ

塔下の港で、
いちばん最初に「おかしい」と言う子。

それが、カガリの幼馴染 ユラ です。



① 立ち位置
• 性別:女の子(ボーイッシュ寄り)
• 一人称:「あたし」
• カガリの呼び方:ふだんは「カガリ」、感情が強くなると「あんた」
• 塔下の街、とくに“港側”をよく知っている地元っ子

カガリが「塔の真下から真上を見ている」存在だとしたら、
ユラは「塔の影が落ちている街の横顔」を、ずっと見てきた存在です。

彼女にとっての灰鉄塔アストラは、
• 空の一部でもあり、
• 生活の背景でもあり、
• ときどき「嫌な予感」を連れてくる柱

みたいな、好きにも嫌いにもなりきれない相手です。



② 性格・口調
• 基本はフラットで、さっぱりした性格
• 語尾は「〜じゃない?」「〜でしょ」「〜だよ」あたりが多め
• ツッコミが鋭いときだけ、ちょっと少年っぽい乱暴さが出る
(それでも「〜だろ」よりは「〜じゃん」の子)

感情が乗ると、

「あんた、ほんとそれでいいと思ってんの?」

みたいに、正面から言葉をぶつけてくるタイプ。
でも、その一言の裏には、
• カガリが変な方向に折れないように
• 塔の“当たり前”に飲まれすぎないように

っていう、彼女なりの必死なブレーキが隠れています。



③ カガリとの距離感

ユラは、カガリにとって
• いちばん近くにいる“塔下の幼馴染”
• 彼の危うさに、一番早く気づく観測者
• 「それ、おかしくない?」と口に出してくれる、貴重な声

です。

カガリが「心臓」「灰」「鉄」のことばかり考えて、
頭の中でぐるぐるし始めるとき、
ユラはそこに “生活の目線”からツッコミを入れる役になります。

たとえば、
• 教本の言葉をそのまま信じようとするカガリに、
• 港の現実や、人々の疲れた顔をぶつけてくるのは、だいたいユラ。

第2話までの範囲でも、
その「温度差」や「歩幅の違い」が、少しずつ見え始めているはずです。



④ ユラと「心種(Seed)」の関係(第2話時点)

この時点で、ユラはまだ
「心種」という専門用語を、きちんと言葉としては知りません。

けれど、
• 港に残る“イヤな空気”
• 戦場帰りの人たちの目の色
• 塔の機構が動く夜に、街のどこかが一瞬だけ静まる感じ

そういう**“説明できない変化”**を、直感で嗅ぎ取っています。

カガリが頭の中で「心」と「心臓」の位置を探しているあいだ、
ユラは足元の街で、

「なんか、前と違うよね」

と、はっきり口に出してしまう側。

のちのち、
この 「感じてしまう側の感覚」 が、
心種(Seed)とどう繋がっていくのか――
そのあたりは、物語の中で少しずつ形になっていきます。



最後に:本編への入口

ここまで読んで、
• 「心種ってなんだ」
• 「ユラのツッコミがどこまで届くのか気になる」

と少しでも思ってもらえたら、
ぜひ本編で、二人の会話と街の空気をのぞいてみてください。
• 小説家になろう版(並行連載)
アイアンリクイエム ―灰鉄の戦祈―
https://ncode.syosetu.com/n4790ll
• カクヨム版
 ※この近況ノートが紐づいている作品ページから、そのまま本編が読めます。

次回の用語&人物ノートでは、
• 灰鉄塔の“外側”を走る「エコーライン」
• あるいは、塔側の別の人物たち

などを取り上げていく予定です。

ここまで読んでくれて、ありがとう。
灰と鉄の塔の下で、また会えますように。

――CROSSOH

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