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◆アイアンリクイエム 用語&人物ノート #01 灰鉄塔アストラと、“塔を見上げる少年”カガリ

この近況ノートは

【序章】〜【第1話】の範囲までの、軽いネタバレ

を前提にしています。
それ以降の展開には触れていないので、「とりあえず序盤だけ読んだ」「これから読み始める」という人向けの、世界観ガイド+人物メモとして使ってもらえたらうれしいです。



用語解説:灰鉄塔(かいてつとう)アストラ

ひと言でいうと――

「祈り」と「兵器」と「生活」が、無理やり一本の塔に押し込められたもの。

それが、物語の中心にそびえる 灰鉄塔アストラ です。



① どうやって生まれた塔なのか

この世界で「灰鉄塔」と呼ばれる塔は、アストラ以外にもいくつか存在します。
もともとは、大きく三つの役割を兼ねるように作られました。
• 災厄封印
かつてこの大地を襲った“何か”を、塔の内部に封じ込めておくための器。
• 追悼の柱
焼け落ちた街の瓦礫や、戦で失われた人々の「灰」と「鉄」を集め、
それを素材として積み上げた“墓標”としての塔。
• 生活インフラ
塔の内部を通る「灰鉄」と呼ばれる特殊な材と機構が、
周囲の街へ熱や光、そして“心臓”に関わる力を送り出す装置でもあること。

その中でも アストラ は、
物語の舞台となる地域で「もっとも古く」「もっとも大きく」「もっとも危うい」塔です。

人々はそれを、
• 「祈りの塔」
• 「戦争を終わらせた杭」
• 「新しい戦争を始める柱」

など、立場によってまったく違う名前で呼びます。



② それぞれの“正義”が向ける視線

公式キャッチコピーにもある

四人の英雄、四つの正義、ひとつの灰鉄塔。

ここで言う「ひとつの灰鉄塔」が、この アストラ です。

塔を守ろうとする側、
塔を奪おうとする側、
塔を止めたい側、
塔そのものを“心臓”として見ている側――。

みんなが同じ塔を見上げているのに、
そこに重ねている願いも、恐れも、正しさも、まったくバラバラ。

その視線の交差点として、
灰鉄塔アストラは、物語の真ん中に突き立っています。

このノートではまだ踏み込みませんが、
アストラには「封印」「追悼」「インフラ」以外にも、
もうひとつ “心臓に関わる役割” が隠れています。
それは本編の中で、少しずつ明らかになっていきます。



人物紹介:カガリ

塔のいちばん近くにいて、
塔のいちばん深いところを、まだ知らない少年。

それが、第一章の主人公のひとり カガリ です。



① 立ち位置
• 灰鉄塔アストラの“足元”で育った少年
• 塔側勢力に属する訓練兵/若い兵士
• 塔を「日常の一部」として見上げてきた世代

彼にとって塔は、
「世界の中心に最初からあったもの」であり、
「毎日の空の一部」に近い存在です。

だからこそ、
塔の危うさに本気で気づくのは、いつも 一歩遅れてしまう。



② 性格・口調
• 一人称は「俺」
• 教本や教官の言葉に毒づきつつも、ちゃんと覚えているタイプ
• まっすぐで、不器用で、少しだけ臆病

作中のモノローグにもあるように、カガリはときどき、

「人の心は、どこにあるのか」

ということを考えています。

教官は「心臓ではない」と言う。
心臓はただのポンプ、鼓動を生むエンジンだと教えられる。

それでも、塔の上で軋む「灰」と「鉄」の音を聞きながら、
彼はその言葉を、どこか信じきれずにいる。

“心”と“心臓”と“灰鉄塔”。
この三つがどこかで繋がっている気がしているのに、
まだ言葉にできない――そんな揺れを抱えている少年です。



③ 周りとの関係(ユラとの距離)

詳しい紹介はユラ回のノートに譲りますが、
カガリのすぐそばには、塔下の幼馴染 ユラ がいます。
• いちばん近くでカガリの危うさに気づく子
• 先に「違和感」を言葉にしてしまう側
• ときどき乱暴な物言いで、彼の思考にツッコミを入れてくる存在

カガリが “塔の中”に踏み込んでいく物語 だとしたら、
ユラは “塔の外側から引き戻そうとする声” にもなりうる人物です。

その距離感が、
この戦記の中でどんな形に変わっていくのかは――
ぜひ本編で追いかけてもらえたらうれしいです。



④ カガリという“危うさ”の核

カガリは、特別な力を自覚している英雄ではありません。
どこにでもいるような、少し頭が固くて、
それでも「正しくありたい」と足掻く少年です。

だからこそ彼は、
• 教本に書いてある「正しい戦い方」
• 塔を維持するための「正しい犠牲」
• 自分が信じてきた「正しい心」

その全部のあいだで、何度も足を止めることになります。

彼の“止まり方”と“歩き方” が、
アイアンリクイエムという物語のひとつの心臓になっていきます。



最後に:本編への入口

ここまで読んで「灰鉄塔アストラって何だ」「カガリの結末が気になる」と少しでも思ってもらえたら、ぜひ本編ものぞいてみてください。
• 小説家になろう版(並行連載)
アイアンリクイエム ―灰鉄の戦祈―
https://ncode.syosetu.com/n4790ll
• カクヨム版
 ※この近況ノートが紐づいている作品ページから、そのまま本編が読めます。

今後の近況ノートでは、
• 「心種(Seed)」や「エコーライン」といった世界の基礎用語
• ユラやデイルたち、主要人物たちの裏側メモ

などを、ネタバレを抑えつつ少しずつ解説していく予定です。

ここまで読んでくれて、ありがとうございます。
灰と鉄の塔の下で、また会えますように。

――CROSSOH

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