最近、映画をよく観ています。
もともとストーリー重視派で、これまでにも、観ながらぼろぼろ泣いた映画を何本も友人に勧めてきました。
ところが、反応はどれもいまひとつ。なかには、最後まで2倍速で観た映画もあったそうです。返ってくる感想といえば、
「あのイケメンが悪役だったなんて」
「誰も映ってないカット、あんなに必要?」
……気になるのはそこなんだ、と首をかしげてばかりでした。
あとになって、ようやく気づいたんです。
その友人は、ストーリーよりも俳優さん重視だったんですね。
そんなことを考えていたら、大学時代のことを思い出しました。
当時付き合っていた彼はアニメーションを専攻していて、B○NESの作品に夢中でした。いつか自分もあんなアニメを作りたい、と話していました。
あるとき、彼が意気揚々と先生に聞きました。
「今の僕の実力で、日本でもやっていけますか? 苦労する覚悟はあります」
先生は彼を見て、なんとも言えない顔でひと言。
「飢え死にするよ」
その話は、それきりになりました。
そんな彼には、ひとつの持論がありました。
「アニメって、みんな作画を見てるんだよ。ストーリーなんて誰も気にしないって」
この言葉が妙に頭に残って、ずっとストーリー派だった私も「そういうものなのかな」と思うようになりました。しかも、その影響は後の就職面接にまで及びます。
もうずいぶん前、仕事を探していたとき、面接官にこう聞かれました。
「作品にとって、いちばん大切なものは何だと思いますか?」
当時はすっかり業界のことがわかったつもりになっていて、自信満々に答えました。
「もちろん、ビジュアルです」
ところが、面接の最後に、こんこんと諭されました。
「どんな作品でも、いちばん大事なのはストーリーですよ」
そして、不採用。
…でも、そのおかげで、また好きな物語を素直に楽しめるようになりました。
とはいえ、観る側にとって本当に大事なのは、ストーリーなのか、ビジュアルなのか、それとも主演の俳優さん(?)なのか。
答えは、人それぞれなんですよね。
そんな当たり前のことを受け入れられるようになったのは、実はここ数年のことです。
…最近は、母がAIで作られたショートドラマにハマっています。
私自身、AIで作られた映像には、どうしてもなんとも言えない違和感があります。母が楽しそうに見ている横で、「何がそんなに面白いんだろう」と不思議に思っていました。
ところが先日、AIで作られた猫のショートドラマが流れてきました。
これといったストーリーはありません。二匹の猫が、いきなり田舎暮らしを始めるんです。毎日お茶の葉を摘んで、シロップを煮詰めて、豆腐を作って。小さな庭のある家で、のんびりと自給自足の暮らしをしているんです。
気づいたら、チャンネル登録していました。
人は、作品のどこにいちばん惹かれるんでしょうね。
私にも、もうよくわからなくなりました。