作家向けの辞典とか、あるのだろうか?
私は数多くの辞書を買い漁り、年間数冊は本棚に押し込んでいる。ここ数年は蔵書量がオーバーし、増やせる棚もなくなっている。年間を通して読む作品数はマチマチではあるが、それなりに文字とは向き合っているだろう。
冒頭に戻るが、作家向けの辞書について語りたいと思う。
要するにレトリックの話なんですけど。基本は幾つもの本を読み、或いは体験したり、内側で全てを練り合わせ出力するのだが。
こうも考えた事はあるだろう?
このシーンに合うテンプレートはないかな?
と。
実はこれ、私でもあるものです。作品を数多く書いていると、表現の幅や仕方、見せ方は違っても典型が出来てくるもので。同時に、その作家の定番の幅が広い程に地力へ影響する。
要するに、書いていて筆が止まる、そうした経験は私にはない。これは別に、考えていないからとかではなくて、もっとシンプルな話で。
既にどう描くか知っている。典型があるからそれに従うだけ、だから筆が迷わないし止まらないのだ。推敲なりの話をするとややこしくはなるが、一発目の原文を書く際に迷いはない。
なぜなら、どう書くか頭にあるからだ。これはカメラワーク、風景、心理、動作、五感などをどうすればどうなるか、その理解と応用である。実は難しい話じゃあない。
夕陽とか。考えられる限りの『書ける内容』を列挙する。
先ずは光。これは陰陽に繋がっていて、色ではない。強弱、濃淡である。光に影はつきものです。
次に色、後は温度だろうか?
「空に広がった朱色が夕刻を告げている」
とか。まあ、大体は夕陽のシーンはこうした表現になる。私の場合はそこに匂いや手触り、視覚に嗅覚や触覚を与えるのを好んでいる節はある。
別に描写の良し悪しの話ではなく……。テンプレートの話で。こうした書き易いシーン(メディア露出の多い例題)は典型があるだろう?
みたいな話。この典型をシーンに合わせて辞書でひけたなら、迷いがある人にとっては得難いものだよね。
そりゃあ勿論
描写の典型は作者の含蓄だ、ズルみたいな先駆者の借り物で空は飛べるか小僧ッ!
みたいな意見はあるとは思う。近年AIが増えてきて、まさにこれが勃発しているのはさておき。
私が述べたいのはだ、典型を、土台を作る道を態々――私は苦しんだんだからお前も苦しめ、なぞと――過酷にせんでよかろうに、と言う話である。
事実、私は基礎を築いた上で筆が迷わない訳だ。でも典型を組み上げるのは大変に時間を要する、のなら、三分クッキングみたいな容易さで先人の積み重ねを流しみるのは悪くはなかろうて。
とは言え、夕陽を描く時、目立たせたい夕陽にではなく影のみをはっきりと書いたり、そうした着眼点も大事ではある。それを一旦切り離して考えると、まあ、あって良いよな、と思う訳ですよ。
活用し、典型を固めたその上で、作者の内側から食い破る熱量を文字に委ねられたなら……儲けもんですよね?
え? いつにもましてえらい真面目やて? いやいや、ちゃうて、あったら便利やん。作家向けシーン別描写例辞書。便利やない? いや便利やろ?
え?
あと、その。
今日の更新は、ねえです。書いてはいるけど、まだちょっと煮詰めなければならぬのじゃ。