「円城塔賞 文学」を含む小説

小説を盗むことは人生を盗むことに等しかった

初めて書いた小説を、手直した小説です。 舞台は海面がせり上がり、人間はビルで生活しなければいけなくなった近未来です。 主人公は少年。新たに暮らせるビルを探しに行った父をずっと待…

クリスマスの深夜。「男女の言い争い」の通報を受け現れたのは元同級生・由良伊月だった。 琴葉は、高校時代に共有した満員電車のささやかな儀式を思い返す。華奢な指と声変わり途中のあど…

静けさの中で、少しずつ近づいていく2人の高校生。 言葉を多く交わさず、2人の世界は満ちていく。 劇的な事件が起こることはない。 ただ、空気、音、光、心の震えが、静かに愛を育てる。…

監禁事件の被害者と加害者の間に産まれた宇佐美虎徹は、ある日以来、極度の性衝動に苦しめられて自宅に引き籠るようになった。 唯一の肉親の母親が自殺し、天涯孤独となった虎徹は、心優しい…

十年前、自ら設計した家を訪れた建築士。 光だけを計算してつくったその家には、今、静かに動く“影”があった。 影は時間を刻み、季節を語り、そして人の生を映していた。 施主の妻と過…

田舎に暮らす「おれ」にいつも不平等な勝負を仕掛けてくる少女、八重子。 たまにはやり返してやろうと思った「おれ」の些細な行動が取りかえしのつかない結果を招いてしまう。 罪悪感に苛ま…

主人公の名前は東京都。 「とうきょうみやこ」と読む。 父は東京砂漠。 母は東京京子。結婚前の名前は京都京子。 名前に狂い、名前に呪われた一族に生まれた東京都は、中学時代にクラスメ…

世界は、爆発ではなく“欠落”によって静かに終わり始めた。 音が削れ、動作が途切れ、時間がほつれる中、唯一それを知覚できる「わたし」は、最後に残った微かな“優しさ”を世界から切り離…

※エログロかも。気を付けてください！ ※自傷行為を推奨・助長する意図はまったくありません。 ※いまいち気に入っていないので、コンテスト期間中に手直しすると思います。

不快な記憶や歴史が「不衛生」として除去（清澄）された近未来。 人々は合成された無菌の飲料のみを摂取し、穏やかな忘却の中で生きていた。 主人公は「醸造矯正官」。 地下から発掘され…

　女の子は指を丸めて作った環で遠い景色を観察する。 　砂浜、りんご林、雁、氷海、きのこの森、廃墟、牢獄、天使の街――。 ＊＊＊ 　本作は「カクヨムコンテスト11短編」用に修正…

火星人の少女は、少年におのれの内臓をひらいて明かす。そこには純粋な親愛と好奇心がある。 人間の見た目をして人間離れした少女は、何を目的としておのれの内臓を少年に見せたのか？そして…

下水処理場に勤める俺は、大事な人間が住む"当該地域"が下水を用いた反社会性診断により存続の危機に陥っていることを知る。俺の糞を巡る冒険が始まろうとしていた。

性別不詳の同級生と草を抜くお話。

娘のデートの邪魔をする、というパパにとっての最重要ミッション。

失われた夢と残された言葉。 水泳選手として将来を渇望されていた彼女は、事故により足を失い、文学に全てを賭けた少年は、病の床で静かに筆を置いた。 それぞれの「喪失」を引き継いで…

５歳の玲衣子（れいこ）ちゃんは文学少女！

リストラされた五十三歳の男が、 千葉のどこかにある私鉄の小さな駅で降りた。 場末の路地裏、欠けた看板が赤く光る。 「炭火焼肉　ぼ　ん」 間の抜けた空白が、まるで自分の心の穴…

一日一人が必ず未知のエイリアンに喰い殺される極限状態から、なぜ一人だけ生き延びることができたのか……。生き残れる探偵は、三百六十五名のうち、謎を解いた一名のみ。