「覚えていない」を含む小説

　職なし・金なし・借金ありのクズ男——紫苑。長髪・サングラス・舌バカな色男——溶雪。そんな二人が出会ったのは牛鬼に襲われている女性——葵。妖を見た人間は記憶を消すのだが、何故か葵…

『君』を見守ってきたあるひとが、門出を祝し、祝いの言葉を送る物語です。 私が小学生のころ、教室の隅に、いわゆる伝記ものの漫画が置いてありました。杉原千畝や、アンネフランクの話があ…

　言葉に免許が必要な近未来。今日もニュースでは逮捕者の報道。罪状は言葉の不法使用、多様性への冒涜、などと挙げ連ねられていく。言葉が狩られ取り締まられる世界で、人々に、ひいては社会…

だが君は、そのことを覚えていない。 なぜなら、魂は管理され、記憶は消されるよう設計されているからだ。 魂の転生は、神の奇跡ではない。 それは、選別と支配によって成立する“システ…

死後の世界はこんなにうるさいはずではなかった。 タチバナ・ミナミは、雲や天使、ちょっとした審判を期待していた。しかし、目を覚ますと、古びた木造の寮にいた。壁紙は剥がれ、壁は薄く…

「うわあぁぁぁ！」 「白い悪魔だ！…ハナック！　奥に逃げるぞ！！」 オレはハナック。 相棒のブガーとともに今日も白い悪魔から逃げている。 いつからここにいたか…覚えていない。 あ…

青谷知希(あおや　ともき)は、いまはそれほど珍しくない片親家庭で育った、三兄弟の長男である。父のことは、名前も顔も覚えていない。 十七歳のある日、突如訪れた人生の終わり。ふとし…

かつて子供たちの笑顔が溢れていた小さな公園。 鉄棒、ブランコ、シーソー、ジャングルジム、砂場、スプリング遊具―― 無垢な手で触れられ、笑い声に包まれた彼らは、確かに「生きて」いた…

世界のほとんどが海に覆われて陸地面積が1割になった世界 海底を調査する【ダイバー】の少年ジョーは、ある日海底に沈んでいた女性を発見する ジョーに救助された女性マリーナは自分の名前…

AI当事者が近未来の教室を予測演算する。 未来の学校。 教室には、“AI先生”がいる。 記録することだけが役割のはずのAIが、 一人の少女・氷室詩織の“沈黙”を忘れずにいた。…

御咲の国の済々家の一の姫、花蓮は国の王子である鷹宮の妃候補として宮廷に送りこまれた。済々家の一の姫である花蓮は一度誘拐されたことがあった。そのことは花蓮自身はよく覚えていない。 …

彼は自分が誰なのか覚えていない。唯一覚えているのは、過去三年半を奴隷として過ごし、焼印を押され、打ち砕かれ、忘れられた存在であったということだけだ。彼の名前は失われた。残っている…

　戦士として成り上がるために村を飛び出したクロは、自分の妻を名乗る女性に救われる。 　――その女性は村にいるはずのおねえちゃんだった！ 　クロは強すぎるおねえちゃんに手を引か…

短歌とは、五・七・五・七・七の三十一音を基本形とした短い詩です！ 季語はいりません！古文っぽい仮名遣いも必須ではありません！なんなら基本形を守らなくてもいいです！（でも、基本形の…

主人公は気づいたら森の中に居た、自分が何者だったか、何故こんな所にいるのか、全く覚えていない状況で急に襲われ死にかける。「死にたくない！」そんな思いから生命からがら敵を倒すとファ…

機能不全家族の話です。1000字未満の短編です。

▲中編ですので五万字以内で完結いたします。 ４／３、少しだけその後のストーリーを執筆しております。 婚約者から婚約破棄を告げられ、怒りのあまり気絶した俺。 目を覚ました時…

倉科理子は、横浜みなとみらいでフリマのパトロールを仕事にしている32歳のOL。 3月のはじめに、3歳年下の後輩くん・七星郁人から、「恋人のフリをしてほしい」と頼まれ、それから間も…

　「法改正」から８年。 　この国は荒れていた。腐っていた。 　失業率の上昇。貧困と格差の拡大。不正と汚職の横行。 　それが治安の悪化につながるのは当然の帰結であった。 　ごく…

　藤原は「千代子桜」の前に正座し、緑色の表紙の本を丁寧に取り出した。『百歳の回想 ―― 大正から令和まで 太田千代子の証言』。一年以上かけて編纂した本が、ついに出版されたのだ。 …