皆さん、あけましておめでとうございます。もう1月も半ばを過ぎているのにまだ正月気分かと言われそうですが、15日までは「小正月」ですからいいんじゃないでしょうか。……えっ、これが公開されてるのはもう16日!? なら旧暦で「旧正月」の2月17日まで正月ということにしましょう! とにかく時間があっという間に過ぎていますが、みなさんカクヨムコンテストはもう投稿していただけたでしょうか? 今回は、私も異世界冒険部門担当で参加させていただきますので奮ってご応募ください。毎回、新しい作品と出会うことは新鮮な驚きと感動の連続で、今回もどんな作品が待っているのかと、いまから胸をワクワクさせています。いや、もう少しずつチェックは始めているのですけれどね。詳しくは秘密です。まあこの特集ページでお馴染みのみなさんは、私の好みの作風なんて把握済みだと思いますので、構わずに狙ってみてください。審査員や読者の好みを把握して自分の作品作りに反映させるのも作家としての力量だと思うのです。それでは今年もカクヨム共々よろしくお願いします。

ピックアップ

孤独の異世界グルメ! 明日は明日のメシが待っている

  • ★★★ Excellent!!!

 主人公ハトマは、冒険者街で暮らすごく普通の冒険者。危険な大冒険に挑むこともなければ、英雄的な活躍を夢見るわけでもない。ダンジョンでモンスターと戦いながらも決して無理はせず、堅実に稼ぐ──それが彼のモットーだ。趣味もなければ、恋人もいない。そんな彼の毎日の楽しみは、「飯を食うこと」だった。

 もしファンタジー世界の冒険者が実在したなら、きっとこんな日常を送っているのかな。地に足のついたハトマの暮らしぶりがリアルなんです。

 仕事で稼いだときは居酒屋で一杯やり、失敗して落ち込んだときは景気づけにトンカツを食べる。遠出をすれば土地の名物を探し、懐に余裕があれば新しい店を開拓する。ときには仲間や友人と飲んで騒ぐのも悪くはないけれど、オフのときはひとりで静かに食事に没頭したい。現代のサラリーマンと何ら変わらない思いに親しみを覚えます。

 おじさんがただ食事をしているだけなのに、自然と世界観が広がっていく独特の語り口も魅力的なんですよ。明日は何を食べようか、ささやかな日常の幸せが愛おしい。自由気ままな食べ歩きに心惹かれる作品です。


(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=愛咲優詩)

陰キャ×Vtuber×高校デビュー! 一歩を踏み出す勇気で世界は広がる

  • ★★★ Excellent!!!

 高校入学を機に陽キャにイメチェンし、高校デビューを目指す元陰キャの少年・如月影冬。クラスで隣の席になった陰キャな女子・綴涼音は、中学時代の同級生だった。そして影冬が密かに推すVTuberの正体が、綴涼音ではないかという確信を深めていき……。陰キャな二人が高校デビューで奮闘する学園ラブコメディです。

 影は薄いが努力家な影冬と、ヒロインの綴の成長ぶりが心地良く、そんな二人を見守るクラスメイトたちの姿に心が和みました。

 過去の自分を変えたい一心で学級委員長に立候補し、陽キャだらけのクラスの中で不安を抱えながらも、クラスを引っ張っていく影冬の姿が応援したくなります。そして影冬の努力にちゃんと気づいてくれているクラスメイトたちの人間性が温かくて、自然と笑みが込み上げてくるんですよ。

 頑張っている影冬の成長を目の当たりにして、ヒロインの綴もそれまでの弱い自分から脱却して、自分の夢を追いかけはじめる光景が爽やかなんです。勇気を出して一歩を踏み出すことで、自分の世界を広げていく二人の姿は、まさに青春そのものでした。


(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=愛咲優詩)

婚活は受験戦争だ! 偏差値38から始まるスパルタ恋愛講座

  • ★★★ Excellent!!!

 彼女いない歴10年以上の冴えない会社員・佐藤健太(35)は、結婚への憧れから「婚活予備校」に入塾する。しかし入塾テストの結果は、婚活偏差値:38のE判定。最底辺のFクラスに配属された佐藤の、地獄の婚活戦争が始まる!

 結婚を大学受験になぞらえて、予備校で恋愛スキルを学んで成長していくというコンセプトが面白い。

 自己分析は現代文だ! 外見は内申点だ! 会話術はリスニングだ! 鬼の塾長・桜木によるスパルタ講義に叩きのめされ、心身ともに削られていく佐藤の姿が哀愁を誘います。

 年収や学歴、ファッション以前に、異性と三分も会話が続かない致命的なコミュ障ぶりが痛々しく。婚活模試として参加したお見合いパーティーでは、社交性に満ちたSクラスの美男美女を前に、自身の未熟さを思い知らされる。これまでの生き方や人生を容赦なく採点してくる婚活のリアリティが、読者の胸まで抉ってくるんですよ。

 そんなダメダメな佐藤ですが、同じクラスの女性・田中さんと傷を舐め合っているうちに、何やらいい雰囲気になっていくじゃありませんか。何事も捨てる神あれば、拾う神あり。婚活とは、他人と競うことではなく、自分に合った相手と出会うための過程なのかもしれません。


(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=愛咲優詩)

新NISAの天国と地獄! リアル投資家体験記

  • ★★★ Excellent!!!

 政府が推進する非課税投資制度・新NISA。こちらは著者の進藤進さんが、実際に新NISAで投資に挑戦した約二年間の実体験を綴ったエッセイです。

 堅実に働いて貯めた600万円を元手に、米国企業「エヌビディア」を中心とした半導体株の買い増しを続けた進藤さん。その結果、わずか半年足らずで資産を約100万円も増やしたというから羨ましい。しかも投資に必要な知識や情報は、すべてYoutubeの動画から学んだというから、さらに驚きだ。

 しかし、うまい話は長くは続かない。米国株が急落し、利益は瞬く間に消え、損失を抱えることになる。今回は勉強だと諦めながらも、内心で渦巻く後悔や不安が率直に描かれてやりきれない。

 さらに追い打ちをかけるように起きた「トランプ関税」騒動で、200万円を超える大損失を被る。今度こそトドメを刺されて撤退かと思いきや、そこから最終的にはプラス500万円以上の奇跡の大復活を遂げるから世の中わからない。もし私が当事者なら情緒がどうにかなってしまいそうだ。

 ある日、突然株価が乱高下する投資の世界は、まさに一編のドラマのようだ。これから投資を始める人へ、目先の出来事に一喜一憂しない心構えの大切さを教えてくれるエッセイです。

(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=愛咲優詩)