特集
新年あけましておめでとうございます。正月休みもあっという間に過ぎ、特集担当も慌ただしい年始を迎えております。年末年始もカクヨムをお楽しみいただけましたでしょうか。
現在「カクヨムコンテスト11」が開催中ですが、昨年開催された「カクヨムコンテスト10」の受賞作も続々と発売となっています。大賞受賞作品については特集ページでもご紹介しておりますので、ぜひあわせてご覧ください。
そしてもちろん、「カクヨムコンテスト11」へのご応募もお待ちしております!
さて、今回の特集テーマは「百合ファンタジー」です。
先日実施したライトノベル展2025開催記念のDiscord生配信「現役編集者が語る!絶対に今読むべき偏愛ラノベ」で、百合好き編集者の熱い語りを聞き、すっかり百合が読みたくなってしまった担当による選出となります。
明日から三連休の方も多いかと思いますので、ぜひ連休のおともにお楽しみくださいませ。
本特集に選ばれたレビューをご投稿いただいた方には、1月中に500円分の図書カードをお送りいたします。今後とも、素敵なレビューのご投稿をよろしくお願いいたします。
この作品のファンタジー世界観はわりとシンプルで、設定自体もそこまで細かく作り込まれているわけじゃない。でも、それを適当に流すのではなく、ちゃんと丁寧に描いているのがいい。よくある「壮大な世界観を作ろうとして、結局支線がぐちゃぐちゃになる作品」とは違って、本作は限られた枠の中できちんとした構成を維持しているから、ストーリーの流れがスムーズで読みやすい。世界観の説明がゴチャつくこともなく、素直に物語に没入できる。
そして、やっぱりこの作品の一番の魅力はここ! キャラが背負うものや二人の絆にしっかりフォーカスしていて、無駄な設定に寄りかかっていない。もちろん世界観も十分に面白いけど、それ以上に「キャラの心情描写の深さ」が本当に素晴らしい。ストーリーの中には重い展開もあるけれど、作者の絶妙なペース配分のおかげで読んでいて辛くなりすぎず、二人の距離がじわじわ縮まっていくのがたまらなく尊い。特にキャラが少しずつ人間らしくなっていく過程は、ものすごく刺さる。「私たちは友達? それとも……?」「そもそも‘友達’って、私たちにとってどんな意味があるの?」みたいな問いが重なっていくうちに、感情の境界線がどんどん曖昧になる。その揺らぎがすごくリアルで、キャラたちの葛藤と成長があまりにも尊い。しかも物語が進むにつれて、後半はとんでもなく甘い! 心がとろける……尊すぎる……それに、作者の文章が本当に素晴らしい。どこか冷たさを感じさせるのに、同時に詩的で美しく、感情の流れがとても繊細。読んでいるうちに、いつの間にか物語に引き込まれてしまう。
間違いなく、今まで読んだ百合作品の中でも特に繊細なファンタジー作品のひとつ。書籍化してほしいし、何度でも読み返したくなる。こんなに美しくて尊い百合は、まさに宝物レベルの作品だった。
序盤はコメディ調で、主人公とメインヒロインが互いに違う思惑で奮闘しつつ、も空回りする様子が絶妙なバランスで描かれ、思わず笑ってしまう場面の連続。
しかし、物語が進むにつれて毛色は変わり、シリアスさを帯びた本気の恋愛描写へと舵を切ります。
互いの抱える歪みや、重くも深く切実な愛情、そして相手を思いやる心が丁寧に描かれ、その関係性は非常に良質。
序盤から二人を「頑張れ」と応援していたはずが、物語のトーンが変わり始めてからは、心から本気で応援せずにはいられませんでした。続きがとても楽しみです
偽聖女として国外追放されてしまう本物の聖女『アンジェ』とアンジェが好きすぎて、少しだけ頭のネジが飛んでいる王国の第二王女『シャルロット(以降、シャル様)』による溺愛百合ストーリーです。
冒頭の書き方が良く、世界観の設定を地の文(キャラのセリフ外)で表現しつつ、物語を進行されていることが際立っていました。また、その点に関しては読みやすさに直結しており、「なるほど、そういう設定か」と理解しやすかったです。同時に、設定をツラツラと書いている訳ではなく、きちんと読者にも想像の余地を残して描写されている点は非常に良いと思いました。
まぁまぁ、そんなお堅いことはさておき――、
とにかく、このシャル様の狂った愛がすごいっ!
『シャル様、やべぇ』と思ったシーンを抜粋させてください。
夜会にて国外追放を言い渡された後、シャル様はアンジェを連れ去って寮に戻って来ると、アンジェがお付き合いしている人がいない「フリー」の状態か確認をするのですが、アンジェがフリーだと言った途端、シャル様は――。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! アンジェ様可愛すぎますううううううううううう!!!」
と大絶叫し、挙句の果てには――。
「はぁぁぁっ……これまではアンジェ様の魅力に気づかない節穴とはいえ一応婚約者がいらっしゃいましたから我慢しておりましたけれど、もうそのような必要もございませんし思う存分アンジェ様を愛でられますわ! あぁ、この腕にすっぽりと納まる小柄さ、細くもしなやかで柔らかい体つき、さいっこうの抱き心地ですの~!」(「第9話 友人の暴走」より抜粋)
抱きつくのでした・・・。
あの暴走はすさまじかった。うん、引くくらいには、です。
それが冒頭で見た時の感想でした。でも、物語を読み進めていくうちにシャル様ってどこか真面目そうに見えたり、狡猾そうで格好いい場面もあったりするキャラで、とっても愛着が湧く性格をしていて面白いと感じました。(基本、アンジェ絡みとなると大体は飛んでいるイメージではあるのですが…。)
それに相対する主人公『アンジェ』は冒頭、聖女の力を使って、『誰かの力になるため』に帝国を奔走する少女だったわけですが、そこから一転、『偽聖女』と断罪され、心に深い傷を負った可哀そうな少女というイメージに様変わりします。
ただ、そんなアンジェは追放の後から少しずつ、色々なきっかけを通して『楽しいことは何なのか、自分とは何なのか』と悩み、考えながら前に進む姿が話数を重ねるごとに増え、感情移入できる場面に多々、遭遇しました。
そう言った意味ではこの作品の良い所は『キャラたちの感情がダイレクトに伝わってきて感情移入がしやすかった』という点だと思います。キャラ間の言葉と言葉のキャッチボールが繊細で、感情の起伏や流れが読みやすく、伝わりやすいように工夫されている点が素晴らしかったです。
最後になりますが、本当にレビューの一つでは語れない魅力が詰まっている作品だと思います。この作品の魅力をあれやこれやを書き殴りたいところではございますが、端的にまとめとさせていただきます。
今後も筆者様のご健勝とご活躍をお祈り申し上げます。
話のテーマはシルプル。愛し、愛されるということ。
姉妹ということもあって恋愛よりかは家族愛(共依存)の方が強い。ストーリー的には前半はほぼ家族愛、恋愛要素は後半から、最後数話が濃いめ。姉は何となく氷系溺愛スパダリヒーロー(妹はそのヒロイン)が彷彿される。
心理描写にフォーカスしているためか、全体的に無駄が削ぎ落とされていて大変読みやすい。そのため内容がスッと入ってきてストレスなくサクサク読めた。
愛や人生を理解するのに同じ時間軸をループするということの意味や理由を上手く使えていて感心した。無双やザマァ系の作品が多い中で、個人的に珍しく人生のやり直し物語に感情移入できつつ納得感があった。
一度の人生じゃわからないこともある…繰り返して止まったような時間のなかで心が成長していく過程は何とも言えないエモさがある。
ヤンデレって自己愛が強いのか感情が極端過ぎて思考回路に意味不明なことが多いが、これはトラウマ拗らせ系で、心情と言動に矛盾や腑に落ちないといった所謂“モヤる”ことが殆どなかったという、最近ではわかりやすいラノベ作品だった。
いつ主人公が監禁されるかという常にヒヤヒヤするサスペンス感も良き。
あと、しっかりヤンデレです。