孤独の異世界グルメ! 明日は明日のメシが待っている
- ★★★ Excellent!!!
主人公ハトマは、冒険者街で暮らすごく普通の冒険者。危険な大冒険に挑むこともなければ、英雄的な活躍を夢見るわけでもない。ダンジョンでモンスターと戦いながらも決して無理はせず、堅実に稼ぐ──それが彼のモットーだ。趣味もなければ、恋人もいない。そんな彼の毎日の楽しみは、「飯を食うこと」だった。
もしファンタジー世界の冒険者が実在したなら、きっとこんな日常を送っているのかな。地に足のついたハトマの暮らしぶりがリアルなんです。
仕事で稼いだときは居酒屋で一杯やり、失敗して落ち込んだときは景気づけにトンカツを食べる。遠出をすれば土地の名物を探し、懐に余裕があれば新しい店を開拓する。ときには仲間や友人と飲んで騒ぐのも悪くはないけれど、オフのときはひとりで静かに食事に没頭したい。現代のサラリーマンと何ら変わらない思いに親しみを覚えます。
おじさんがただ食事をしているだけなのに、自然と世界観が広がっていく独特の語り口も魅力的なんですよ。明日は何を食べようか、ささやかな日常の幸せが愛おしい。自由気ままな食べ歩きに心惹かれる作品です。
(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=愛咲優詩)