概要
正義の内側は、こんなにも暗い。
聖騎士団の新任騎士エルトは、初めての「処理」任務に誇りを胸に臨んだ。
処理——禁忌に触れた集落を排除する、神聖国家の正義。
だが辺境の集落ラステンには、遺物の灯りで子供たちに文字を教える教師がいた。
関節の痛む老人が遺物の暖房で手を温めていた。
笑い声があった。生活があった。算術の問題が石板に書いてあった。
——120人を殺す。神罰を防ぐために。それが正しい。
正しいはずだった。
処理——禁忌に触れた集落を排除する、神聖国家の正義。
だが辺境の集落ラステンには、遺物の灯りで子供たちに文字を教える教師がいた。
関節の痛む老人が遺物の暖房で手を温めていた。
笑い声があった。生活があった。算術の問題が石板に書いてあった。
——120人を殺す。神罰を防ぐために。それが正しい。
正しいはずだった。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!聖義と体温が交錯する、静謐なファンタジーの傑作
本作は、巨大なシステムの末端に生きる一人の青年が、正しさと優しさの決定的な乖離に直面し、もがきながらも自分の足で立つまでを描いた重厚なヒューマンドラマです。
驚かされるのは、世界観の解像度の高さです。
聖騎士団の白い回廊の冷たさ、ラステンの村に灯る遺物のオレンジ色の温もり、そして冬が近い空気の匂い。
五感に訴えかける瑞々しい描写が、読者を一瞬で物語の内側へと引き込みます。
特に音と光の使い方が見事で、静かなシーンほど、登場人物の心の鼓動が伝わってくるような臨場感がありました。
静かな筆致の中に、激しい意志の炎が宿っているような作品でした。
読後、どこか遠い荒野で歩き続ける一人の男の足音が…続きを読む