第18話 ヨーコ




ヨーコ





オマエラはホンモノを

相手にしているんだぞ

覚悟はあるんだよな・・・



鮫口はさっきまでの

錯乱振りは演技だったかのような

冷静な口調で周囲を見据えた




その余裕ある呆れた顔は

一瞬の隙もない




にげろぉぉぉぉ




ギャラリーを一瞬で

退散させるほどの

冷徹な威圧感




氷のような瞳で

その場に残った者を見据える




身の毛のよだつような

その爬虫類に似た瞳の奥では





逃げ遅れた者と

覚悟を決めている者の

選別をする





少しは殺しがいのある奴

いるようだな・・・・




鮫口は眉間に皺を寄せながら

何かを考えている





タロ


「あの・・・ちょっと・・

公共の場でホンモノを構えるのは

もう少し考えた方が・・・」



タロが交渉に入ろうとする



「これでアンタも捕まるんだ

もうおしまいだということを・・・」




BANG!!



うあああああ




鮫口


「オマエの仕切りか?

時間稼ぎか?まあそんなとこだろう

能書きなんざ・・・いらんのだよ」






鮫口の目線は常に

周囲へ向けられている





瞬時に司令塔の

タロを判断し、有無を言わさず

撃ち抜いた



拳銃の轟音が響き渡る

その衝撃は肩を貫き貫通し

後ろ向きに地面に倒れ込んだ





うあああ・・・





タロが撃たれた・・・・

周囲が騒然とする中、タロの元に近寄り

とどめを刺そうとする鮫口







タロ


「・・・うぅぅぅ・・・

策士・・策に溺れるか・・・・」







オマエらは極道に喧嘩を売った

その代償はキチンと清算してもらう


オマエらの家族一族関係者

もろとも同じ目に遭わせる




覚悟するんだな





タロはもう覚悟を決めていた

肩の部分を撃ち抜かれ

呼吸は出来るのだが出血が多い





タロ

「はやく・・・逃げろ、

オマエラ・・・」






・・・お兄ちゃん!!




子供の叫び声が

少し離れたところから

聞こえてきた



ん?



その声を聞き逃さなかった鮫口は

タロに銃を構えながらおもむろに

振り返ると、車の向こう側から子供の

駆け足音が聞こえる



「なんだあのムスメは・・・

いったいどんなトリックを使うのか」



タロにはもう反撃能力がないものと

判断した鮫口はゆっくり振り返ると

車の方に向かっていく






車の周りにはひときわ目立つ

たそがれが立ち尽くしているのが

確認できた




赤タイツめ・・・








ちょっと前


たそがれレッド




よし・・・

車から出るからな

カエルのままでいい



でなきゃあ

ヤクザに見つかったら

とんでもない目にあうだろう



俺と一緒に逃げるぞ




たそがれはかえるを大事に車から

出ると逃走の段取りをしようとした




その時




車の反対側、少し離れた場所で

発砲が起こった

ホンモノの銃声だ

耳をつんざくその音は


S・Wメンバーを震え上がらせるに

充分な威力だった






た、タロが撃たれた!!



鮫口が銃を発砲していた



その反動でたそがれは

腰が抜けてしまい




誤ってアマガエルを

落下させてしまった




ヨーコもこの音に

驚いたようだ



今まで聞いた事のない

大きな音がする

悪魔のような撃鉄の音が

ヨーコの変身を



元の姿に戻してしまう



地面に叩きつけられ

頭を抱えるヨーコ





走れ!ヨーコ




変身が解けたらしばらく

出来ないんだろう?



俺はもう腰が立たない

時間がないんだ

あいつはお前を追いかけてくる



アキオがバイクで

遠くまで逃げてくれるはずだ




走れ!

走るんだあああ




うん、わたし走るよ!!




ヨーコの足先は

真っ直ぐアキオに向かっていた



タロを撃たれて

一時放心状態だったアキオは

震えが止まらない





ただ、ヨーコが

自分に向かって真っすぐに

向かってきていることを判断し





アキオ


「逃げなきゃ!!

ここから逃げなきゃ!!」





ヨーコを乗せて出発すべく

段取りを考えながら



ヨーコちゃん

こっちこっち



近くのバイクまで

素早く走り抜け





走ってきたヨーコを

抱え上げた






お兄ちゃん・・・

怖かった・・・






アキオ

 「ヨーコちゃん

もう大丈夫だ・・安心して・・・」




(高級車のマフラーの音)

フオン!!!!





やばい

もうバレてる






鮫口



俺が生かすと思うのか?







室内からウォッカの瓶を持ち出した鮫口は



スモークガラスに

べちゃべちゃにぶつけられた

パイのホイップクリームに掛けると


スーツのジャケットで荒々しくぬぐい

車の窓全てを全開にして

ワイパーで汚れをコサギ落とした



「逃げれると思うな・・・もう警察が来る

その前にオマエラの口封じだ」



もう飽きたわ・・・

ムスメもろとも

轢き殺してやる




車は加速し、

アキオとヨーコ目掛けて

弾丸のように走った


殺意に満ちている




加速する車は一直線で

アキオとヨーコの元に向かってくる





十蔵


アキオちゃん!!

危ない!!




いち早く異変に気付いた

十蔵だったが、タロの負傷を見て

気が動転していた




マイクでアキオに

指示を出すも





アキオはヨーコと

その場で固まっている





加速する車は

みるみるアキオとヨーコに

殺意を込めて突進する


全てが・・・・

スローモーションに見えた・・・・






「あっ・・・」






その漢







真っ赤な衣をまとい・・・・






その存在、一切を消し去り・・・








不器用なまでの

集中力と、玉を当てる事だけに長けた





それ以外の全くの良さを

見出せず・・・・






その執念は・・・・






冷酷までに相手を

狙い撃ちする・・・








いかれたスナイパー

たそがれ・ナルシスト







2丁拳銃で

(レプリカ)





一瞬目を閉じて

息を吐き・・・・






撃鉄を

車の走り抜ける先にむけ






その瞬間を

待っていたかのように






二丁拳銃の

引き金を引いた







間違いなく

当てる!!!






奴が引き金を引いたという

事実だけで充分・・・・



結果はもう決まっている






鮫口


「うあああああああ・・・・

両目に激痛があああ」


両目をBB弾で

ピンポイント狙撃された



鮫口は急ブレーキをかけ

スピンして大横転した




間一髪その高級車は

ヒサシとヨーコをかわし




ヒサシ


「たそがれ・・・・

やっぱりオマエは・・・凄いな」





鮫口

「くそう、くそう!!

目が痛む、何も見えん・・・・」




よたよたと車中から出てきた

鮫口はひと気のない方に




走り去ったのだった






つづく




《今日の主な登場人物紹介》




たそがれ…この物語の主人公。シルバーウルフ永遠の補欠


ヨーコ…まだ自分にもわからない未知の能力を秘めていて今後のカギを握る




ヒサシ…たそがれの同級生。なんでも屋十三の街の情報収集が趣味、酒癖は悪いが仁義ある男。


アキオ…たそがれの同級生。女性の扱いがうまいイケメン、おしゃべりで明るい性格。


十蔵…たそがれの同級生。有名インフルエンサー配信者。


タロ …たそがれの同級生。インテリ眼鏡で冷静沈着に見えるが嘘。いつも低音で論理的に喋る。


フタミ・りんご…たまり場の女主人、ヒサシの妻と子




海童組…十三のヤクザ、勢力を拡大している。ヨーコの父殺しに関わる


鮫口…海童組の組長、たそがれを拉致監禁する


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シルバー・ウルフ タロ (ラーメンブロガー) @tomoshin1107

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