「孤児にとって規範は親の代わり」という設定が非常に重厚で、エルドという少年の潔癖なまでの自己抑制に、序盤から強く引き込まれました。教会の静謐さと、そこに潜む「乱れ」を許さない空気感が、見事な筆致で表現されています。「今日も自分は正しい」という確信がなければ眠れないほどの強迫観念。聖人選定という栄誉が近づく中で、エルドが「規範を守ること」と「目的を果たすこと」の乖離にいつ気づくのか、そのドラマチックな転換点を予感させる見事な「引き」でした。
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