概要
片割れの月夜、琴に合わせて、笛が泣く。
方違えのため、近衛少将は讃岐守の屋敷を訪れる。
そこは、夏の初めに一人娘を病で失った家だった。
夜更け、屋敷の奥から横笛の音が聞こえてくる。
音を辿った少将は、庭で笛を吹く一人の男と、その前に揺らぐ朧なものを目にする。
男は語る。
娘に恋をしていたこと。父に阻まれ、文も返されぬまま別れたこと。
そして、死後もなお夜ごと琴の音を聞き、横笛で応えていたことを。
このままでは男が娘に引かれ、命を落とす――そう悟った少将は、嵯峨殿に助言を求める。
与えられたのは、もののけを祓う札だった。
平安ブロマンスホラー第六弾。
そこは、夏の初めに一人娘を病で失った家だった。
夜更け、屋敷の奥から横笛の音が聞こえてくる。
音を辿った少将は、庭で笛を吹く一人の男と、その前に揺らぐ朧なものを目にする。
男は語る。
娘に恋をしていたこと。父に阻まれ、文も返されぬまま別れたこと。
そして、死後もなお夜ごと琴の音を聞き、横笛で応えていたことを。
このままでは男が娘に引かれ、命を落とす――そう悟った少将は、嵯峨殿に助言を求める。
与えられたのは、もののけを祓う札だった。
平安ブロマンスホラー第六弾。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!月の下、横笛が呼ぶのは恋か、怪異か。
このシリーズを読むのが楽しみになっている。今回もまた、期待を裏切らない見事な短編だ。
方違えで少将が訪れた屋敷に、夜ごと響く横笛の音。
恋の気配と怪異の気配が、すれすれに重なり合い、どちらにも言い切れないまま読者を引っ張っていく構成が魅力。さりげなく挿入されている和歌もよい。
雅びな語り口のまま、背筋だけがじわりと寒くなる「静かな怖さ」がある。
嵯峨殿の密かな怒りが伝わってきて、この二人のファンとしてはにんまりとするところ。
そして何より、タイトルどおり“悲恋”の余韻が強い。
派手に脅かすのではなく、音と気配と沈黙で心を締める一編。読み終えたあともしばらく、笛の音が耳に残った気がした。