第2話 異世界ファンタジー、後に英雄の帰還

  押し入れを越えたら、開けた森の中にいた。


「ここはどこ? 僕はさっきまで自分の家にいたはずなのに」

〖ここは、異世界”ステラ”と言います。おめでとうございます。現代異能社会から異能へと渡ることに成功したことにより、スキル【世界渡り】を取得しました〗

「脳内から声がする? 誰だい君は?」

〖私は、世界の声〈イヴ〉。この異世界での貴方の案内役です。これから宜しくお願いします。マスター、白銀蓮様〗


 マスターってなに? どういう事? それよりも僕は真白を助けないといけないんだ。なんで、こんなわけの分からない場所に来て……


「ピギィィ!!」


 なんだ? 水まんじゅう?……いや、半透明なスライム!?


「な、なんで、スライムみたいな生き物がこんな所にいるんだ?もしかして、本当にここは異世界なのか?」

〖はい、勿論です。そして、あれはベビースライムというモンスターになります。戦闘を行いますか?〗

「モンスター!? そんなの逃げるに決まって……」

「ピギィィ!!」


 スライムがいきなり襲いかかってくる。意味が分からない。なんで、いきなり知らない異世界に来て、モンスターに襲われないといけないんだ!


「なっ!? こいつ、いきなり襲いかかってきて。このっ!」

「ピギャアア!!」

「は?……弱、石ころで一撃だなんて……」


 近くにあった石ころを慌てて拾って、スライムの核みたいな場所に、当てたらあっさりと倒せた。その後、倒したスライムは光って素材みたいなのに分離した?


『ベビースライム』

◎ベビースライムの溶液

◎ベビースライムの核膜


「これは……RPGゲームみたいなドロップアイテム?」

〖ベビースライムを倒したことにより、白銀蓮マスターのレベルが上がりました。また、異能『技巧』の効果により、〈拳術レベル1〉〈投石レベル1〉のスキルを取得しました〗

「は? スキルを? ちょっと待ってよ。スキルなんて、地球じゃあそんな簡単に取得できるわけないんだよ!スライムを小石で殴ったくらいでそんな簡単に取得できるわけ……嘘だろう? スキルが身体に身に付いている!?」

「はい。これも、マスターの異能補正によるものです。この補正により、マスターのレベル、ステータス、スキルに成長の補正が付与されます。続いて、マスターのレベルとステータスの確認を行います……」


 世界の声……イヴがとんでもない事をさらっと言っている。僕がさっきまでいた、現代異能社会でも、レベル、スキル、ステータスはある。

 ……あるけど、普通はレベルやスキルというものは、長い年月をかけて取得していくものなのに。スライム1体を倒しただけで、2つもスキルを取得するなんてあり得ない。


『白銀蓮』

職業 中学生

レベル2

魔力 5

攻撃力10

防御力2

俊敏しゅんびん性1

運命力5

スキル【世界渡り】〈拳術レベル1〉〈投石レベル1〉

 

 凄い。レベル2になってる……俊敏性1って、いや、僕は太ってるから仕方ないステータスだけど、なんか悔しいな。


〖悔しいのなら痩せて下さい。マスター、痩せることができれば、貴方の俊敏性はさらに高まります。痩せて下さい、痩せればマスターは今よりもマシな姿に変われます〗

「痩せなさいって……君、なんだか人間くさいことを言う……」


「ピギィィ!!」「ピギィィ!!」「ピギギギィィ!!」


「は? また、スライム……それになんだか怒ってないか?」

〖先程、マスターに倒されたベビースライムが仲間呼びを行ったのです。戦闘を行いますか?〗

「い待ってよ。さっきは1体だったのに、いきなり3体の相手だなんて、できるわけないだろう」

「ピギャアア!!」「ビギャアア!!」


 あっちが3体で向かってくるなら、こっちも不意打ちで倒させてもらう。両手に小石を2つ持って、さっき覚えたばかりの〈投石スキル〉を発動、そのままスライムの核に的確に当てる。


「ピギィィ!?」

「遅いよ!君に恨みはないけど、僕は真白のためにも死ぬわけにはいかないんだ。ごめん!」

「ピギャアア!!」


 ベビースライムの断末魔が森の中に響き渡った。


〖マスターのレベルが上がりました。そして、新たにスキル〈石打ちレベル1〉を修得しました。投石、拳術のレベルが2上がりました〗

「いや、だから早いってどんなチートだよ。スライム4体倒しただけで、3つもスキルを覚え……覚えられれば、快斗にも勝てるようになる?」


 ふと、疑問に思う。地球で長い修行をするよりも、こっちの世界の方が簡単にレベルやスキルが上げられる……極限まで、今覚えられたスキルを鍛え上げれば真白が助かるかもしれない。


「イヴさん」

〖はい、イヴちゃんとお呼び下さい。マスター〗

「……イヴさん。僕って、あっちの世界。地球にはちゃんと帰れるのかな?」

〖む……はい。マスターには、【世界渡り】というスキルが、ありますのでいつでも帰ることが可能です。また、こちらの世界で休憩する場合は、『白銀の館』でお休み頂けます〗

「白銀の館? この森にそんな場所があるの?」

〖ございます。今から向かわれるのでしたら、ご案内することも可能ですが、いかがいたしますか?〗


 草木が生い茂るこの場所に館? しかも白銀って、うちの名字じゃないか。


「……いや、今は時間が惜しいんだ。少しでも強くならないといけない。明日の朝までに快斗よりも強くならないといけないんだ!」


 そうだ。そうしないと、真白が快斗に大変な目にあわされる。それだけじゃない、あいつは母さんにも手を出す。天草あまくさ快斗かいとは昔からそういう奴だった。


 僕の大切な物を奪って壊す。僕の父さんも、お爺さんとお婆さんまで……奪われてきた。


「強くなりたいんだ。明日の朝までに、地球にいる同級生たちよりも強く!」

〖強くですか……了解しました。地球の中学生三年の中で、地上最強の強さを身に付けられれば、よろしいのですね?〗

「中学生の地上最強?……ま、まぁ、そんな感じだけど。そんなの言い方されるとは、思ってもみなかったよ」


 人がせっかく、決意を固めているのに。このイヴって世界の声、まるで他人事みたいにしか思ってないのかな?


〖時間がありませんので、徒手空拳と投擲とうてき術のスキルを中心として、スキルは研いていきましょう。レベルアップは、ベビースライムの断末魔の声を最大限に活用。移動時間を短縮しタイムロスを最小限に抑えます。朝方には、『白銀の館』へと向かい。身体の療養及び、回復スキルを2つほど修得していただきます〗


 話が細かくて長いけど……イヴさんに言われた通りにすれば、快斗に勝てるくらい強くなれるって事だよね?


「それなら、やるしかない! 死ぬ気で……真白を守るために。僕は強くなる。一晩で、中学生最強にのし上がってみせる!」

〖素晴らしい心がけです。マスター……先程倒した、ベビースライムの断末魔を聴いた新手がもう少しでやって来ます。戦いに備えて下さい〗


「「「ピギィィ!!」」」

 さっきよりも多いし、10匹位は向かって来てる。それなら、先手必勝。小石を投げまくって核を壊しまくるよ。


「うん。投石スキルを鍛えるために、もう投げるよ。ふんっ!」

〖え? お待ち下さい。遠距離の戦いよりも、近距離で戦った方が効率は上がり……〗


「ピギャアア!!」「ピギュウァ!!」


「よし、当たった」

〖……お見事です〗


 ベビースライムの断末魔が、森の中で響き渡った。


◇◇◇


 次の日の廃工場―――


「おほ~! 今日は、朝から真白ちゃんと遊べるなんて最高だな。なぁ?西中のマドンナちゃん」

「……は、放して下さい。お願いします!」

「黙ってろ。俺達のナンパをずっと断ってるから、こうなるんだぜ。西蓮寺ちゃ~ん!」


 快斗の取り巻きたちと、抵抗する女の子の声が聞こえてくる。やっぱり、快斗たちは、この廃工場でなにかをする予定だったのか?


「は? なんで、豚野郎がここに来てんだ? テメエの妹とは? 真白はどうしたんだよ!クソ豚!!」


 快斗がブチギレているけど、そんな事はどうでもいい。今は、真白の安全このために快斗を無力化する。


 一夜漬けで、付け焼き刃のこの異世界で手に入れた、徒手空拳と投擲とうてき術の極限までレベルアップさせた力で……


 


『白銀蓮』

職業 中学生

レベル10

魔力 15

攻撃力50

防御力30

俊敏しゅんびん性24

運命力100

スキル【世界渡り】〈徒手空拳レベル10〉〈投擲レベル10〉〈かみこぶしレベル1〉

魔法【回復(小)】【異常回復(小)】


 

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無能と蔑まれた俺、異世界で【極限レベルアップ】して帰還。現代最強の異能者たちが束になっても、俺の『技巧』に全員勝てずに倒れる件 冰藍雷夏(ヒョウアイライカ) @rairaidengei

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