無能と蔑まれた俺、異世界で【極限レベルアップ】して帰還。現代最強の異能者たちが束になっても、俺の『技巧』に全員勝てずに倒れる件

冰藍雷夏(ヒョウアイライカ)

第1話 豚も願えば異世界に行ける

 僕には、同い年の義理の可愛い妹がいる。小さい頃から一緒に時間を過ごした大切な家族が。


 そして、義妹は凄くモテるんだ。良い人にも悪い人にも……


「おい!無能豚、いい加減に妹を俺の前に連れてこいよ!オラッ!」

「ゴホッゴホッ!……い、嫌だ。そうしたら、君達は僕の妹を強姦するんだろう? 僕は知っているんだ。君達の黒い噂を……がぁ!?」


 腹部を殴られた。痛い……すごくすごく痛い。僕の名前は、白銀しろがねれん


 見た目は豚みたいとよく言われて、馬鹿にされているブサイク男だ。


 今は同級生数人に取り囲まれて、病弱な義妹を連れてくるように脅されている。


「……くっ!」

「ハハハ、なんだ?その反抗的な目は、豚野郎。「ギャハハ!本当にそうですね。コイツは豚そのものですね。快斗君」

「生きる価値なし〜!さっさと、あの可愛い妹を呼び出せよ。俺達が可愛がってやるからよう!」


 僕の這いつくばる姿を楽しそうに見ているのは、不良グループのリーダーで、かつて、僕の親友だった天草あまくさ快斗かいと

 

 イケメン。高身長、運動神経抜群のハイスペック男だ。おまけに天草財閥の御曹司でもある。


 対して僕は、ある程度の頭の良さしかない男の子。


「快斗……なんで、いつもこんな事をするの?昔はもっと優しい…ぐぅ!痛い!」

「うるせえんだよ。ブサ男、その目つき本当にムカつくわ。お前の父親を思い出してムカつくわ。まぁ、お前の親父は、いけ好かねえ容姿だったけどな!」

「ムカつくって……父さんは快斗君を救おうとして、交通事故で死んだ。それに僕は調べたから知っている。君は故意で僕の父さんを殺……がはぁ!?おえぇぇ!!」

「うおっ!こいつ、ゲロ吐きやがったぜ。快斗君。気持ち悪い豚だな!」


 また、お腹を蹴られた。痛い痛い痛い……これで、目だ。身体中が痛い。


「……本当にうるせえな。あれは、紛れもない事故だったって言ってんだろうが。なにが、次期社長候補だ。天草財閥の未来の社長は俺になるって決まってんだろう。オラッ!」

「がはぁ……おええぇ!!」

「ギャハハ!また吐いたぜ。このクソ豚」

「だから、さっさと可愛い可愛い妹を呼べっての。お前、俺達に豚汁にされたいわけ?」


 痛い悔しい……痛い……悔しいけど。耐えるしかない。もう父さんはいないんだ。だから……僕が残った家族を守らないといけないだ!


「ちっ!……相変わらず、無駄に頑固でムカつくやつだぜ。いくぞ、そろそろ先公せんこう共が巡回に来るからな。見つかったら面倒だからなっ!」

「ぐぅっ!」

「了解〜!じゃあな、豚君。また、サンドバッグよろ〜!」

「妹ちゃん。連れてこいよ〜!そんでどうする?代わりの回す女の子をさ……」

「それなら、西中のお嬢様が良いだろう……」


 空が暗くなり始めて、先生の巡回の時間になったからだろうね。快斗達が楽しそうに去っていく。


「……痛……痛いけど。心は負けてない。だから、僕は負けない。あんな、理不尽な奴らなんかに。ゴホッ!ゴホッ!」


 僕はアザだらけの身体を起こした。全身、殴られ蹴られで凄く痛い……けど。数日後には、治ると思う。


「骨折はしていないし……良かった。これなら、真白や義母かあさんに迷惑をかける事はないね」


 巡回の先生に見つからないよう、隠れながら帰る。こんなボロボロの状態を見せて、心配させたくないから。僕、一人が我慢すればいいんだ。そうすれば、家族は安全に暮らせるんだから――――


◇◇◇


 僕の年齢は、今年で15才。3才の時に、僕を産んでくれたお母さんが早期癌で死んじゃって。その後、父さんが再婚。5才で新しい義理のお母さんと妹……新しい家族ができたんだ。


 それで、僕が10才の時に父さんが不審死。その父さんの両親、僕のじつのお爺さんとお婆さんも、複数人の通り魔に刺されて死んじゃったんだ。その犯人も未だに見つかっていない。


 どれも怪しいとしか言いようがない事件だった。そして、残されたのが、僕、義母かあさん、義妹の三人だった。


 父さん達が亡くなってからは地獄だった。住んでいた家の権利は天草財閥に強制的に買われ、家を追い出された。


 その後は、都心の端にあるお爺さん達がいざって時に住んでいいと、残してくれた古屋に逃げるように住み始めたんだ。それからは、母さんが僕達兄妹のために必死にパートを掛け持ちして育ててくれた。


 ふつうなら、妹の真白だけを育てようと考えるはずなのに、血の繋がらない僕のことも母さんは育ててくれたんだ。こんな豚男の僕を大切に。


 だから、恩返しがしたいんだ。迷惑もかけたくない……これ以上、母さんを困らせたくないんだよ。


 そんなことを考えている間に、家に着いた昭和からずっと建っている木造で家。いつ壊れてもおかしくないボロボロの家だ。まるで今の僕みたい。


「……ただいま。母さん、真白の体調はどう?」

「あら?蓮、お帰りなさい、遅かったわね……まさか、また快斗くん達に苛められていたの?」


 僕の義理のお母さん。雪乃お母さん。娘の真白を14才の時に産んだと知った時は驚いたのは、良い思い出。それと見た目は十代くらいに見えない。


「い、いや、違うよ。僕でも、できそうなバイトがないか探してただけだって。来年は、高校生になるんだし。母さんのためにも働いて稼がなくちゃ!」


 明るくそう告げる。母さんの前では、なるべく明るく振る舞う。そうしないと心配をかけるから……


「そんなの気にしなくていいのに、パパやお祖父様やお婆様が、残してくれた貯金はまだあるんだから、気にしないで高校生活をエンジョイしちゃいなさいよ」

「……嘘だよね。真白の持病の入退院費がかそんでいるの。僕、知ってるよ。お金沢山必要なんでしょう?」

「それは……私が、なんとかするから大丈夫よ。だから、蓮は気にしないで高校生活を楽しみなさい。お母さん、これから工場でパートだから、真白ちゃんのことをよろしくね。バイバイ〜!」

「あ!待ってよ。母さん!話はまだ終わってな……はぐらかされた」


 あわただしく、家から飛び出して行っちゃった。毎回こうだ。僕が家のことや金銭の話をすると気まずい顔で僕から離れていく。母さんは、いつも一人でなんでも抱え込んでしまう。


「……真白の様子見にいかないと」


 真白、僕の大切な義理の妹。こんな醜い容姿の僕を受け入れて優しく接してくれた妹。


 僕を兄さんと慕ってくれる大切な僕の心の支えだ。


「真白……部屋に入っていいかな?体調はどうだい?」

「ゴホ……ゴホ……お帰りなさい、兄さん。遅かったんですね。心配したんですよ」


 うす布団の上に寝転んでいる女の子。綺麗な銀髪、雪化粧のような肌。生気があまり感じられないような、儚げで可愛らしい女の子。それが僕の義妹の真白。名前の通りの女の子だ。


「ごめんごめん、今日は学校で用事があってね。それで帰りが遅くなったんだ」

「学校?……もしかして、また。快斗さん達に苛められたんですか?兄さん」

「ち、違うよ。違う……えっと。先生、そう!先生に用事を頼まれちゃってさ。それで、遅くまで残っていたんだ」

「………嘘ですよね?快斗さん。お義父さんが亡くなくってから、兄さんを執拗しつように苛めるようになったじゃないですか!以前、私が止めるようにお願いしたから、止めると言っていたのに。私との約束を破ったですね?あの人は!」


 ポロポロと涙を流し始める真白。あぁ、この子は本当に感が鋭い義妹だね。


 僕がどれだけ嘘をついても、直ぐにバレちゃうよ。


「真白……そんなに興奮すると、また発作が起こるよ。落ち着いて」

「ゴホ……ゴホ……すみません。兄さん……ゴホッ!ゴホッ!」

「真白っ!?し、しっかりしろ!だから、言ったじゃないか。興奮するなって!」

「で、ても、私は兄さんが酷い目にあうなんて許せないんです。兄さんは……こんなに優しい人なのに……ゴホッ!ゴホッ!」

「……ありがとう、真白。真白も優しい妹だよ」


 真白の背中を優しくさすってあげる。痩せ細った病弱な身体を。真白は昔から、魔力病とか言う不治の病を持って産まれた。


 治すには、ちゃんとした医療機関に長期入院して、適切な手術をしないといけない。


 ……だけど。家にはそんな余裕は無い。収入は母さんのパート代だけ。だから高校生になったら僕もバイトをして真白の魔力病を治すためにお金を稼がないといけない。


「……………そういえば。兄さん、快斗さんから、私宛にこんな手紙が送られてきたんです」

 

 咳も収まった時だった。おもむろに真白が、枕元から黒い封筒と白色の便箋びんせんを取り出して、僕へと見せてきた。


「快斗から……真白への手紙?」

「……はい」


 嫌な予感しかしなかった。なんで僕ではなく、真白本人に快斗が手紙を送るんだ?……昔から快斗が、真白に執着しているのは知っている。僕の目の前で犯してやるなんてことも平気で言っていたし。


 嫌な予感しない。嫌な事しか書いてないだろう。早く手紙の内容を確めて、僕が真白を守らなくちゃいけない。


「手紙には、なんてあったんだい?見ていいかな?」

「…………明日のお休み。都内の廃工場に来いって書いてあったの。そうしないと兄さんを殺すって……書いてあったの……うぅう……」

「は?……快斗が僕を殺す?」

「………ゔん……うぅぅ」


 ……僕を殺す? 快斗が? いや、あの頭のネジが外れた快斗ならやりかねない。


 父さんだって、快斗と関わってから、可笑しくなっていって……最後には、身体が溶けた腐敗した死体として発見されたんだ。不審死として、今の快斗なら、僕を殺してもおかしくない。アイツには、その力があるんだから。


「……兄さん。私明日、快斗さんの所に行ってくるね。そうすれば兄さんは殺されないで済むんでしょう?」

「馬鹿言ってるんじゃない!快斗は、人を簡単に傷つけて、女の子は皆……女の子は……」


 強姦されてきたなんて、真白に言えるわけがなかった。明日、真白が快斗の所に行けば、間違いなく何かされる。いや、廃工場にいるのが、快斗一人だけじゃないかもしれない。


 真白が危ない。


「ごめん、真白……真白は僕が守るから。絶対に守ってあげるから……どうにか対策するから、待ってて。だから、今日はもう寝るんだ。お休み、真白……」


 僕は、頭が真っ白になり、立ち上がった。自分の部屋に戻って対策しないと、真白が危ない目に合わないように対策しなくちゃ……対策……しなくちゃ。


「あっ!待って!兄さん!……手紙……行っちゃった……………私が明日、快斗さんに会わなかったら。兄さんが殺されちゃう(ブツブツ)」


 とんでもない事実を突きつけられて、僕も真白も精神がおかしくないなり始めていた。


◇◇◇


 その後は、自室に戻って快斗の手紙を何十回と読む……


〖よう!久しぶりだな。真白……明日の朝、元白銀工場があった廃工場に来い。そう、お前の親父が営んでたでっけえ工場だ。そこでたっぷりと可愛がってやる………もし来なかった場合は、クソ豚野郎……いや、蓮を殺す。テメエ等の親父達みたいな悲惨な末路にさせたくないなら、必ず来いよ。気持ち良くしてやるからよ〗


 何度読み返しても気持ちの悪い手紙の内容。吐き気がする……いや、実際に何度も吐いた。


「おえぇ……なにが、天草財閥の跡取り息子だよ。僕の父さんを追い込んだばかりか、今度は妹の真白にまで手を出そうするなんて、許さない……おえぇぇ!!」


 でも、抗う術なんて僕にはない。僕はただの中学三年だ。


 そして、この世界は現代異能社会、僕には異能なんていう力がない。

 それに引き換え、快斗は幼少期から異能の力を発現している。


「おまけに、天草財閥の後ろ楯に守られている。人を殺してもお咎めなしの立場。どうしたらいいんだよ!くそおぉ!!」


 無意味に壁を殴る。

 こんな、ことをしても無意味なんて知っている。

 だけど、だけど……なんとかしないと、妹が酷い目にあわされる。


 バキッ……パキンッ……バキッ……


「なんだ?……壁が崩れていく?」


 たしかに家は古い家だ。お爺さんが、あった時のためように残してくれた昔から、白銀一族が管理していた家。


 そういえば、僕の部屋の隣は、空き部屋になっていたんだった。扉も何もない部屋に。


 そっと暗い部屋を見渡す。中は暗い、そして、部屋の真ん中には大きな箱みたいな物が置いてあった。


「……古いタンス?……いや、押し入れ?……なんでそんな物が、こんな暗い部屋の中に?」


 精神的に可笑しくなっていたんだと思う。謎の好奇心で暗い部屋に入ってしまった。


 その後は、何をしていたのかあまり覚えていない。無意識に押し入れの扉を開けて中に入ったんだ。


 そしたら、押し入れから黄金の光が漏れだしてきて……



〖異世界『ステラ』へ、ようこそ。これにより、異能の力を発現しました。貴方の異能は『技巧』―――あらゆる技術の習熟、習得、熟知を可能にします〗


 押し入れの向こう側には、僕の知らない異世界が広がっていたんだ。




 

​ 最後までご覧いただき感謝いたします!

​現在、この作品をより多くの方に届けるためにランキング上位を目指して、毎日奮闘中です。

 もしこのお話が少しでも気に入っていただけましたら、皆様の☆レビューと作品フォローで、背中を後押ししていただけないでしょうか。

 皆様の応援一つひとつが、私のモチベーションになります。どうぞよろしくお願いいたします!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る