恥ずかしながら、タイトルだけ見たらホラーかと思ってしまいました。
鬼火と言ったら、ジャパニーズホラーにはつきものの、ひゅーどろろな青白いアレを思い浮かべますからね。
ところがどっこい、確かに語り手の幼い時代の思い出の中に鬼火は出てくるのですが、祖母のおかげであら不思議、全く怖くなくなるのです。
決して祖母が超常的な力を使ったとかいうわけではありません。
でも、祖母はある意味では「魔法使い」であるのかもしれませんね。
そして月日が流れ、語り手が中学生になった頃に、また再び祖母の「魔法」がかけられます。
これがまた、等身大のぎこちない、大人と子供の間にある難しい年頃特有の不安定な青臭さが感じられますし、そんな時期だからこそ、祖母の「魔法」が絶大な力を発揮するのですよね。
これがとても、じんわりと胸の内に温かく広がってくるのです。
そして、「鬼火を待つ」。
そのタイトルが持つ言葉の意味に、語り手の成長の重みが感じられるようで、実に感慨深いものを感じます。
これが実に心地よい読了感となって心に響くのです。
ふとしたことで悩み、疲れ、気持ちが落ち込みがちな時には、是非本作をお読みください。
そして、祖母の「魔法」を感じ取ってみてください。
きっと、何とでもなりますから。
子供の頃、祖父母の家で感じたあの独特の空気感。
少し怖いけれどワクワクする「異世界」のような場所と、そこに流れる懐かしい時間。
この作品は、そんな誰もが心の奥に持っている原風景を、呼び覚ましてくれます。
物語の鍵となるのは、祖母が口にする「なんとでもなる」という言葉。
お盆の夜に目撃した不思議な「鬼火」さえも、「親戚だから怖くない」と笑い飛ばす祖母の強さと大らかさ。
受験のプレッシャーでレモン一つ搾れなくなってしまった語り手の背中を、温かいホットレモンと共に支えてくれたのも、その魔法の言葉でした。
正解を求めて息苦しくなっている時、失敗を恐れて立ち止まっている時、この物語を読んでみてください。
祖母の温かい手が、あなたの背中もきっと撫でてくれるはず。
最初、「鬼火を待つ」というタイトルからちょっと怖い印象も持ちましたが、全く予想外の幸まる様らしいじんわりあったかなお話でした。
「“絶対こうじゃないといかん”なんてことは、生きててそうそうお目にかからんよ」
世の中には、正しさや形に縛られてしまう瞬間がどうしてもある。
主人公もきっと、
「こうしなきゃいけない」
「間違えたらどうしよう」
そんな不安に胸を締めつけられることがあったのでしょう。
そんなときに思い出すお祖母ちゃんの声。
その言葉は、主人公の中の固くなった心をそっとほぐし、“別の道を選んでもいいんだよ”と優しく背中を撫でてくれるよう。
そして、最後にふっと添えられる
「なんとかなる」
という一言。
これは、根拠のない楽観ではなく、長い人生を生きてきた人だけが持つ、静かな確信のような温かさ。
主人公の中で今もその声やお祖母ちゃんの温かさや大らかさが心の中に響き続けているようでとても優しい余韻が残るじんわり温かさを感じる素敵なお話しです。
是非ご覧ください。
オススメです!
「なんとでもなるよ」
お祖母様の言葉は、なんて懐が大きいのでしょうか。
太陽のように明るくおおらかに、皆を照らすお祖母様の周りには、親戚一同が集まってきます。
作者さまのお祖母様のように、穏やかに歳を重ねることができたら、とても素敵だと思います。
手をつなぐと、伝わる掌の温もりには安心がありますね。
曽祖父母、祖父母、両親、自分へと受け継がれてきた生命は、誰が欠けても存在することができませんでした。そして、子供たちへと繋がっていきます。
心温まるこの物語を是非お読み下さい。きっと自分の家族がより愛おしく思えることでしょう。
おススメです!