命を渡される物語――母のほどけた手は、次の手をつなぐためにあった!
- ★★★ Excellent!!!
たった六百文字の短編で、
これほど心を揺さぶられるとは思いませんでした。
読んでいるうちに、
物語の中の「手」が、
いつの間にか自分自身の記憶と重なっていきました。
私にも娘が二人います。
成長し、ひとり、またひとりと家を出ていったあと、
洗面所の歯ブラシ立てから、一本、また一本と歯ブラシが消えていく。
その何気ない当時の光景を、この作品を読んで思い出しました。
仕事に全振りした日々の中で、
娘たちは確かに自立していきました。
けれどその背中を見送ったあと、
ようやく――もう手遅れかもしれませんが――
「もっと一緒に過ごす時間を大切にしていればよかった」と、
強く思いました。
この物語は、悲しみだけで終わらない。
読み終えたあとに残るのは、喪失ではなく、
受け取った命をどう生き、
どう次へ繋いでいくのかという、
静かで、あたたかな問いでした。
誰もがいつか経験する別れだからこそ、
この物語は人の心に、そっと触れる。
だからこそ、
たくさんの人に読んでほしい一篇だと思います。
素敵なお話を、ありがとうございました。