母と子をつなぐもの
織田珠々菜
母と子をつなぐもの
いつも傍にいて、
どんな時も味方でいてくれた。
結婚し、離れていてもどこかで繋がっていた。
実家に帰れば、優しく出迎え主婦として母としての辛さを
理解し労ってくれる。
いつまでも、そんな日が続くと思っていた。
しかし、時は残酷で老化と共に母の身体は
癌という病気に蝕まれていた。
治療するということが、
出来なくなり、医師の元を離れ、
施設で過ごすことになった母。
少しでも、条件の良いところを兄弟たちで探し見つけた施設。
「ここが、最後のお家になるのね。
良いところを見つけてくれてありがとう」
優しい声で、喜んでくれた。
でも、そこで過ごすことが出来たのは僅か数日だった。
大きくて温かったはずの手。
会うたびに、痩せた手。
いつしか私が、その手を包むようになった。
声を出すことが難しくなっても、その手で鉛筆を握りしめ文字を書こうとする。
その文字さえ、何を書き何を伝えようとしたのか解読するのも困難なほど。
そんなに何を、
一生懸命伝えようとしてるのか。
身体が痛いのか、何かして欲しいのか。
だけど、それは自分よりも子どもたちを心配し、思いやる言葉だった。
母の呼吸が、かぼそくなる。
痩せた手を握りしめ、呼びかけた。
何度も何度も呼びかけた。
「お母さん」
小さな頃から握りしめてくれていた
母の手には力が無くなった。
ずっと、繋がっていると思っていたその手は
ほどけてしまった。
どんなに歳をとっていても、
母は、母であり、心の拠り所だったのだと
改めて感じた。
そして今、私は自分の子の手をつなぎ
母からもらった命を大切に繋いでいく。
母と子をつなぐもの 織田珠々菜 @suzuna_oda
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