第4話 【悲報】親友だと思っていた男友達が、オレを性的な目で見ていた
あの時、小学校で指導されたのは、性教育だけだった。
それが済んだら、大人に混じって家事や仕事の手伝いをやることになった。
男子も大人に連れられて狩りに出かけていく。
大人に混ざって家事をしていると、オークのお姉さま達の手は止まっていないが、口はそれ以上に激しく動く。おしゃべりの合間に仕事しているようなものだ。それは別にいいんだが、女子トークに完全包囲されても困る。男子禁制の内緒話は下世話な話が多く、前世の男子のエロ話と比べても遥かに生々しい。見た目がオークであることも合わせて、地獄のような有様である。結果、オレは無口になり、下ネタが苦手な純情少女という評判らしい。ウケる。
人間から見ると、男女オークの身体差はわずかで、産卵管と陰茎の区別も困難だ。精巣は体外に出ておらず、外観上は全部オスしかいない、という誤解を生む。オークに襲われた女性がオークを産むのも、人間の卵子とオークの精子が結合するのではなく、オークの受精卵を植え付けて借り腹する、という訳か。違いの大きい異種族間で受胎するのは不思議だったが、科学的には合理的だ……薄い本的には最低だが。
オレの意識がどれだけ男のつもりでも、姫騎士で妄想しても、愚息はエレクチオンしないのだ。本能レベルで、受精する前の卵子を放出することを止めてしまうらしい。自家発電すらできやしない。地獄かよ。
愚痴る相手は、子分しか残ってねぇ。
しかし、子分も立派に成長し、今ではオレよりガタイがデカい。この体格差では子分というのは無理がある。マブダチに変更だ。
オレの性自認は男性(人間)なので、あくまで男同士の親友である。
というわけで、親友には転生の件も含めて、秘密を全部ブチまけた。
自認が男だというあたりは非常に理解し難いらしいが、自分の納得よりオレの要望を優先して男性の親友だと思うように努力してくれる、らしい。安心したオレは、男同士の秘密のエロトークをぶっちゃけた。姫騎士ネタは大変早口のおたく演説状態だったが、納得出来ないながらも我慢して聞いてくれた。苦手な女子会のストレス解消には凄くありがたい。
そうしてすっかり油断しまくっていたある日、親友が姫騎士を持ってきた。
「僕と結婚して欲しい」
プロポーズである。
お前はオレの性自認が男であることを知っていて、こういう事をするのか。怒りよりも、理解してくれていると思っていた親友への信頼が裏切られた事が悲しい。そんなやつだとは思わなかったと、泣き叫びながら罵倒する。
「落ち着いて聞いて欲しい。
これまでの友情と信頼を傷つけてしまうのは望んでいないけど、僕だって君への愛情を押さえつけて隠し通してきた。君の望むように親友であろうと努力したし、これまでは結構上手く出来ていたと思う。
だけど、もう、限界だ……」
考えてみれば、ヤツからみたらオレは「男子のエロトークも大丈夫な幼馴染の女の子」である。ラノベの『オタクに優しいギャル』みたいな存在では無かったか。
オレの振る舞いにも非があったのかもしれん。そういって素直に謝った。
「だけど、知ってしまった以上、元のようには戻れない……
だからお互いに、少しだけ妥協を受け入れる事で、元に近い関係、を再構築しないか?」
オレだって親友を失いたくはない。
ヤツも覚悟を決めてこの話をしたのだろうし、とりあえず結婚は回避できそうである。ならば、多少の妥協は受け入れられるはずだ。
「君の性癖は沢山聞かされたよね。
姫騎士にくっころしたい。理解は出来なかったけれど、そう望んでいることは良く知っている。だからダメ元のプロポーズで、万難を排して姫騎士を捕まえた。何度も聞いた、君好みの理想のタイプだと自信もある」
さすがはオレの親友である。プロポーズのショックから取り乱したが、くっころの千載一遇のチャンスであるのも事実だ。必要なモノは目の前に揃っている。
「いや、まだ足りないものが一つある」
なんだ、それは?
「君が『エレクチオン』することだよ。
君が求婚を断ったのは、悲しいけれど受け入れよう。これが僕の妥協だ。
代わりに、『君がエレクチオンするため』に、僕の精子を受け入れて欲しい。
君が僕の事を愛していなくても構わない。
君のくっころを実現するための手段として利用するだけでもいい。
君は、これを受け入れる事だけ、妥協してくれれば良い。
そうすれば、この姫騎士とのくっころは、全て君の思うままだ」
絶句した。声が出ない。
「あとは、君の決断だけだ。どうする?」
くそったれ。転生の女神の野郎、これを狙っていたのか。
さてはBL好きの腐れ女神だな。ぶっ殺してやる!!
……この話はここで終わっている。
彼のその後を知るものは女神以外にはいなかった。
オークが姫騎士くっころする薄い本でテクノブレイクしたら、異世界転生した件〜憧れのオークになったけど、なんだかちょっと違う〜 辺根除音 @Henne
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