第3話 男友達だけは分かってくれる?

 教室では性教育が始まっていた。


「みなさんは赤ちゃんがどこから来るのか知っていますか?」


 先生が何か言っているが、オレはショックで呆然としていた。

 理性では重要な情報であり、きちんと聞いておく必要があると分かっていた。しかし、感情が受け付けない。なぜだ。おちんちん、あるのに。


「男性と女性が愛し合うと、卵子と精子が一つになります」


 そんなことは前世から承知である。今更いわれなくても。


「みなさんの身体には、卵巣という臓器があります。

 これは、排泄孔からつながっていて、男性の陰茎が入ってきて精子を届けます」


 まて、排泄孔だと? 子宮や膣じゃないのか?


「そして、卵子は精子と一つになり、受精卵になります。

 これが赤ちゃんの元になります。

 受精卵は卵巣のなかで、その時が来るまで眠って待ち続けます」


 受精卵が? 眠る?


「そして、男性が女性に結婚を申し込む時、産卵床をプレゼントします

 男性は愛情を込めて産卵床を捕まえてプロポーズし、女性は一番立派な産卵床を持ってきた男性を受け入れて結婚します。

 結婚すると、女性は受け取った産卵床に受精卵を産み付けます。

 このとき、皆さんの身体にもある産卵管を産卵床に差し込むことになります」


 脳が理解を拒否している。さんらんかん、とは。


「ここまでのお話は分かりましたか?

 つまり、男性と愛し合うことと、結婚することの間には違いがあります。

 なので、結婚するまでは不用意に男性と愛し合うのは避けなければいけません」


 『托卵』に便利な生殖メカニズムってことか?

 オレの性癖はくっころで、托卵じゃねぇ。勘弁してくれ……


 黒板の横に、性教育用の断面図が掛けられた。

 外観は男性も女性も一緒だが、断面図では卵巣と精巣、陰茎と産卵管が性別で異なると図示されていた。そんなン分かる訳ないだろう。転生の女神め、クソが。


 最後に、先生が男子と仲良くしすぎないようにと注意をして、開放された。

 グラウンドで遊んでいた子分がオレに気づいて駆け寄ってくる。何にも知らないボケ顔で、はぁはぁと乱れた息を整えている。仲良くし過ぎるなと言われたが、オレの性自認は男で、性的志向は姫騎士である。子分は関係ないから別に構わんだろう?



 この時のオレの判断は浅はかに過ぎた。


 オレの姫騎士くっころへの『思い』は、第三者のオークには女性オーク一般の産卵行動にしか見えない。同時に、子分から見たオレは、『幼馴染の女の子』であった。


 それの意味することを理解したのは、数年後のことであった……

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