第10話 天変王子と綿花姫は結ばれる

「本当にあの女を娶るつもりなのか?」


「姉上、結婚式の前日に何を言っているんです?」


「前日だからっ! 言うんだよっ!

 考え直せっ!

 あの女はボナデアの女だぞ!」


「だから何です? ボナデアはもうありません、我がベルクナス王国に併合されました。 それに旧ボナデア領の者達へ統治の正統性を謳えるではないですか?」


「だがっ!」


「……姉上? 俺が選んだ女に文句があんのか? ……ブチ殺すぞ?」


「うっ、わ、解ったから、そんなに怒るなよ……」


「なら良いです、ではまた明日」





「やっぱり姉君は私達の結婚に反対なんだね?」


「反対と言うよりは、弟離れが出来ていないと言うのと、初対面でお前が姉上の事を

『猪姉』と呼んだせいだと思うよ?」


「確かにあれは、失敗だったよ。

 何故か心の声が表に出ちゃったんだよね」


「まあ、時間が解決してくれるさ。

 姉上はああ見えて繊細で臆病な人だから、ゆっくり関係を作って行けばいいさ。

 時間はたっぷりあるからね」


「そうね、これからよね。

 貴方ともこれからは一緒。

 ずっと一緒」


「ああ、ずっと一緒さ。

 愛しているよ、ファナ」


「私も愛しているわ、バウル」




「あー、いい雰囲気の所、申し訳ないんですが、しきたりでありますので、花嫁様は別室にてお休みいただけますかー」


「チッ、このルーナ泥棒猫が!」


「ファナ様、また心の声が表に出てますよー

 隊長バウル様の事は私にお任せいただいて、さっさと部屋に戻りやがれや!」


「きぃーーーー!」


「本当に『きぃーーーー!』て言う奴初めて見たぞ? 良いからファナは部屋に戻れ、そしてルーナは出て行け」


「あん、隊長バウル様が冷たい!

 あんなに激しく求めあった仲なのに♡」


「余りファナを揶揄うな。

 そして事実を捏造をするな!」


「仕方ありませんね、ファナ様行きますよ。

 明日は隊長バウル様の為にベストなコンディションで隊長バウル様を骨抜きにしないといけないんですから、早く寝ますよ!」


「あ、ああ、そうだね。

 じゃあまた明日ねバウル♡」


「ああ、お休み、ファナ」




――――


 こうして四代にも渡るベルクナスとボナデアの争いはベルクナスの勝利に終わった。


 終戦後、病弱な父より王位を継いだルドラバウル・ベルクナスは妻ファウナと共に元ボナデア領の改善に務め、彼の晩年にはベルクナス王国はこれまでに無い程発展した。




――――


「お祖父様、お祖母様からお聞きしたのですが、お祖父様は天気を操れるんですか?


 雨季に雨を止めたり、止めた雨を降らしたり、乾期でもお祖父様から祈ると雨が降ったとお聞きしてます」


「ん? たかが人の身でそんな神様みたいな事が出来る訳が無いだろ?


 ただ、お天道様が儂の願いを気紛れに叶えてくださっただけだよ。


 だから、お前も本当に雨が必要な時はお天道様に祈るんだぞ?


 ただ、お天道様に恥じない生き方をしていないと間違い無く、お天道様は願いを聞いてもくださらないから、気を付けろよ?」


「はい、私はこれからもお天道様に恥じない行いを心掛けます!

 だから、沢山長生きして私を見守っていてくださいね、お祖父様!」


「おお、中々言うようになったな。


 そうだな頑張って長生きするのも悪くないか。


 お、明日は雨が降るから家の中で勉学に勤しみなさい」


「お祖父様、それって……?」


「ただの勘だよ、か ん♪」

                 〈完〉

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

天変王子と綿花姫 【短編 お題フェス11 天気】 ナナシ(仮) @you2yo2

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ