真空管のぬくもりは時を超えて
- ★★★ Excellent!!!
父親との死別を通して故郷、そして人生を見つめ直す主人公の独白による人間ドラマです。北海道の厳しい寒さを背景にした物語にも関わらず、読後はかすかなぬくもりを覚えました。
真空管ラジオと、取り壊し寸前の電波塔というモチーフの使い方が秀逸です。レトロでアナログな温かみがある一方で、昔気質の武骨さが、父との思い出に重ね合わされます。修理の場面では、技術者である主人公の能力が発揮され、彼の歩んできた10年間がくっきりと浮かび上がってきました。
冒頭の列車のシーン、北海道の景色などは臨場感があり、旅情にたっぷりと浸れます。自分の来し方行く末に静かに思いを馳せることのできる作品でした。