【幕間】レッドドラゴンナイト ガルム視点。
幹部のみに許された執務室に1人の影。
レッドドラゴンナイトのガルムは執務室のソファで物思いに更けていたーーー。
ガルム視点
魔王…ギネヴィ様は凄いお方だ。素直な方だ。ガルムはギネヴィと出会った頃を思いを馳せる。
…元々、我らはドラゴンだ。しかも火竜の上位種、レッドドラゴンである。
我らは殆どが1箇所にずっと住むということはなく、移動しながら暮らす。それが我らのやり方だ。子が産まれれば、飛び方を教えてやり、火の吐き方を教えたりしながら一流のレッドドラゴンへと育つ。
しかし、我らは人間共から常に狙われた。
ある日、我が嫁は狙われた。人間に瀕死のダメージを負わされ、虫の息だった。
(ちょうどこんな雨の日だったな…)とふと外を仰ぎ見る。
あの頃の俺は、まだ未熟だった。ちょうど俺が狩りに行き、留守の所を狙われた。
帰ってきたら、嫁に人間達が止めを刺そうとしていた。人間達を吹き飛ばし、嫁に駆け寄る。
【ごめんなさい…貴方、私は、もうダメみたい…】
「死ぬな!俺が族長様の所へ、連れて行ってやるから!」
【私はもうダメよ、翼だってボロボロで飛べないわ…貴方ならまだ逃げれるからお願い、早くにげて…。】
【君を置いてなどいけない!行けるわけがないだろう…?】
【ごめんなさい…】と言いながら、少しづつ、目を閉じる嫁。彼女から少しづつ、魔力や力が失われていくのが分かる。
それと同時に怖い。嫁を失うことが。
吹き飛ばした人間が起き上がり、言う。数人の男女だった。
【おっ、新しい獲物発見。】
【2体とか今日はついてるわー!】
【旦那の方?夫婦かな?嫁がやられたから帰ってきたのかな?】
【まさか、魔物が俺らみたいな考えを持ってるはずないでしょ〜?魔物みたいに"下等生物に考える気持ち"なんてないって】と下衆く笑う。
それを見て、聞いて俺は怒り狂った。
レッドドラゴンは火竜の上位種だ。人間の言葉も理解出来るし、話すことも出来る。
だからこそ俺は、怒り狂った。嫁を襲ったのも、牙や角、爪、鱗などが高く金銭的に売れると思ったから襲ったのだろうと見当がつく。こんなヤツらの為に、嫁は痛めつけられ、傷つけられ、命が終わろうとしている。と思うと、どこまでも魔力が溢れてくる。
自分の身体が耐えれぬほどに魔力が吹き出し、彼方此方から血が吹き出すが、構ったことでは無かった。
人間共は俺を見て、恐れ慄く。
【うわぁ!!?なんだよ、これ!】
【レッドドラゴン、魔力が尋常じゃない!】
【なんかやばいぞ、逃げよう!!】と言い、逃げ出す人間共。
逃がさぬと思い、火炎を吐こうと口を開く。そこに現れたスっと現れたフードの男。
こいつも仲間だろうと決め付け、俺は怒りに任せて火炎を吐き出す。
【すごいな、守護壁を展開しても少し焼け焦げたよ。】と言われ、俺は驚く。
【貴様、俺の言葉が分かるのか?】
【ああ、大きな悲しみと怒りの魔力を感じてね。】
【後ろにいる彼女、人間にやられたのか?】
【貴様は、回復魔法は使えぬか!?助けてくれ!!】といい、俺はすぐ助けを求めた。
するとギネヴィは【分かった、必ず助けるよ。】といい、更に続けて言う。
【君は、人間達を追っていい。俺が必ず君の嫁さんを助けるから。】と言われ、信用するか迷ったが、真っ直ぐ俺を貫く紅い瞳を見て、嫁の場所を後にする。
そして逃げている狩人達を追う。
飛行するとすぐに見つけ、火炎を吐き出し、1人は手で捕まえて火炎を吐き焼き殺し、1人は尻尾で薙ぎ払って地面に叩きつけ、首を折り、殺す。あとの2人は同時に捕まえてから、1回空に上がって、ぐるぐると旋回し、人間を抱えたまま、一直線に地面に急降下し、地面に人間を頭から叩きつけ、怒りに任せて殴り、切り刻み、火炎を遠慮なく吐き出し、森一体を火の海にする。
狩人達を殺し、虚無感に浸っていると後ろから急に声をかけられる。先程のフードの男だ。レッドドラゴンで在る俺でも気配を感じなかった。こいつ、何者だ?と思いながら会話する。
【満足したかい?】
【いつからそこにいた?】
【君が火炎を吐き、森を焼け野原にしたあたりからかな?】
【嫁は、無事なんだろうな?】
【殺気を出さなくても、君の帰りを待ってるよ。】と言われ、俺は嫁の元へ行こうと反射的に翼を開き、その場を後にしようとする。
だが、その前に俺は言いたいことがあり、言う。
【俺はレッドドラゴン族のガルム。此度は助かった。何かあれば俺の元を尋ねるが良い。一応聞いておく。貴様、名は?】
【俺?俺は、ギネヴィ。いや、礼なんていらないよ。君達のような魔物を助け、守るのが俺の役目だからね。でも俺が本当に困った時に助けてくれたらそれでいいさ。】と彼は笑う。俺は考える。
(君達のような魔物を助け、守るのが俺の役目?どういう意味だ?)
フードの中から俺を柔らかく見つめる紅い瞳を真っ直ぐ見つめ、俺はその場を後にする。
嫁が待つ巣穴に帰る。嫁の傷は綺麗に治り、ボロボロだった翼も綺麗に治っている。
身体が上下に動いているのも確認し、手をそっと握る。
すると「ん…」といい、嫁の目が少しずつ開く。俺は嫁を強く抱きしめ、嫁は怖かったと泣きながら抱きつき、抱きしめあった。
俺達はお互いの大切さを改めて痛感した。
それから1年後に魔国 バルディウスの次期魔王が発表された。遠隔魔法で映し出された姿は白い髪に、真っ直ぐで力強く映る反面、魅惑的にも映る紅い瞳。堂々と歩くその姿はまさに、魔王。
映像の中で魔王は真っ直ぐ見つめ言う。
【俺の名前はギネヴィ・ラ・ペーニャ。】
【俺は争いを好まない。最初に言って置くが、俺は敵である人間達とも平和にやって行きたいと思っている。
"魔物と人間"、"魔王と勇者"はいつの時代も争ってきた。いつの時代も共存は無理であるという結論に至ってきた。
しかし、俺は思う。何故我々だけが"悪"だと決め付けられるのか俺には分からない。
だが、俺はなんとしてでもこの国を守らなきゃいけない。
だから俺は求める!俺を信頼し、俺と共に国に仕え、国を守る為に俺と共に戦う。そんな仲間を。自信がなくたっていい、仲間がいなくてもいい。弱かったら俺がお前たちを強くし、自信を付けさせる。負けそうなら俺が必ず助ける。仲間が居ないなら俺が家族になってやる。どんな能力でも構わない。ただ求めるのは"俺と国の為に働く覚悟とやる気"だけだ。そんな奴らを応募する。給金などは追って発表する。以上だ。】といい、通信は切れた。
嫁は呆然と見ていた俺を見て言う。
「ふふ、あの方が、私達を助けて下さった方なのね。」
「何故そう思う?」
「今の貴方、覚悟を決めたいい顔をしているわ。この子もそんな貴方を見て、パパかっこいいって思って、嬉しがってるはずよ?」といい、お腹を擦る。
「根拠があるのか?」
「根拠は無いけど、強いて言うなら母親の勘、ってところかしら?」と嫁はウインクしながらいう。
俺達はギネヴィがいる魔国バルディウス国に引越し、俺は魔王ギネヴィに従うことに決めた。俺を見たギネヴィはびっくりし過ぎたのか、魔王ともあろう者が公衆の面前でアホ面を晒しているのを見て、俺や周りは笑いが止まらなくなった。最初は拗ねていたギネヴィも次第に釣られて一緒に笑っていた。
我々の魔王【ギネヴィ】と言う者は、常に周りには笑いが絶えず、自分勝手でお人好しな変人魔王だ。
魔王ギネヴィは悪逆非道で、女子供を躊躇わず殺す最悪の魔王であると書かれた人間達の書いた手配書を読み、ふんと鼻を鳴らす。
俺は手配書を見て、内心思う。
悪逆非道という言葉が1番に合わない魔王だと。そしてフッと笑い、手配書を炎で燃やし、俺は妻と子がいる場所を重点的に警備する為、戦の準備をしに部屋を後にしたーー。
魔王様の異世界建国記 kai @kai_20
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