第3話 魔王様 開戦の準備をさせる。

魔国・バルディウス国 城内


隣で宰相 クラリオンが忙しく、遠隔魔法で全ての魔物達に「魔法で勇者が攻め込んでくるぞ!」言って、幹部達に魔法で大広間まで来るように伝えている。


すると玉座の間の空気が揺れ動き、数人の魔物達が次々と現れた。

竜の翼を持つレッドドラゴンナイト・ガルム。

氷結術に長けた雪女・シノ。

そして無数の影を使役する影操士・ダークシャドウ。


俺の前で跪き「ご指示をお願いします。」と言う。


魔王ギネヴィは頬杖を付き、考えながら言う。

「まずは南の森の守備を固めろ」

「まだ勇者たちは森に入っただけだ。女、子供を安全な場所へ移動させろ。ギリギリまで回復薬や解毒剤などの確保を急げ!準備はまだ間に合う。装備を全て万全にしろ。もし人間達が攻め入って来た場合、殺すな。捕虜にし、人間国との交渉材料にする。雑魚どもは追い返すだけで良い」


そう言うとずっと黙っていたレッドドラゴンナイトのガルムが問う。

「なぜですか?我らの力を示す絶好の機会では?」


魔王ギネヴィは悩み考える。

魔物と人間はなにもかもが違う。寿命も言語も体格も、スキルも技も。


"どちらかがいなくなるまで、争うしかない"。


勇者と魔王も相容れない。

勇者達は知らないし、考えたことがないだろう。人間達が"悪"としている我らにも、家族がいる。レッドドラゴンナイトのガルムにも最近産まれたばかりの子がいる。


魔物が"悪"だと誰が決めたのだ。魔物であっても、罪のない者たちを勝手に"悪"だと決めつけ、蹂躙するー?

それこそ"真の傲慢"であり、"悪"ではないのか、まだ見ぬ勇者よ。


そのような事は、この"俺"が許さん。


俺は真っ直ぐガルムの瞳を見つめる。

ガルムも俺を真っ直ぐ見つ返す。その瞳には期待と憧れがある。視線をガルムから外し、周りを見回す。皆、ガルムのような瞳で俺を見ている。


我らだってできることならば争いたくはない。しかし、争わなければ我々が蹂躙され、この国は滅ぼされるのも事実。


それだけは絶対に避けねばならぬ。


人間達が国を、住民を、守りたいと思うように、我々にも守るべき魔物達がいる。我々の生活を蹂躙する権利は"誰にもない"のだから。


俺は静かにため息を吐き、言う。


「全軍、開戦の準備をせよ。」

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