第4話
ギルドに帰った私たちを出迎えてくれたのは、ボロボロになった冒険者たち。
しかも薬草採取組です。
いったいどんな魔獣が現れたんでしょうか?
「フィオ姉、これってどういうことですか?」
「見ての通りよ。薬草採取組が返ってきたと思ったら、みんなこんな感じなのよ。ノノアちゃん、薬草見つけてこなかった?」
「あ、いっぱいありますよ。今出しますね。ベアくんお願い」
「まったくクマ遣いが荒いんだから。ノノア、保管しておいたレア物も出すか?」
「そうだね、みんな困っているからきっと高額査定が付くよ。今が売り時だね」
フィオ姉がジト目で睨んできますが、そんなことは気にしてられません。
チャンスの神様はここが売り時だと告げています。
「できれば私の前で話さないでほしかったんだけど、助かるわ」
ベアくんの収納魔法で保管しておいた薬草を取り出します。
薬師のおばあさんが品定めをして金額を付けてくれていますが、レア物を手に取ったところで動きが止まりました。
「ノノアちゃん、これはどうしたんだい?」
「え、レア物ですか? 薬草採取で湖に行ったときに大量にあったので、根こそぎ持ってきました。もちろん高額ですよね?」
おばあさんはフィオ姉と顔を見合わせて何か考えているようです。
きっと高額すぎてギルドの負担を心配しているのでしょう。
「ノノアちゃん。これが湖に生えていたのよね?」
「はいっ!」
「これは、毒草じゃよ。薬草に似ているんじゃがな。もしかしてこの毒草、湖に浸かってたんじゃないかい?」
そういえば、確かに増水した湖に浸かっていましたね。
私が頷くと、フィオ姉もおばあさんも納得したような顔になりました。
「誰か、湖の水を持ってない? 水筒に入れて飲み水にしたとか」
横たわっている冒険者の何人かが水筒を提出してくれました。
「ぼくが分析するよ。アナリシス!」
ベアくんの魔法で水の性質を分析してもらうと……何ということでしょう、街の貯水池に入っていた毒素と同じものが検出されてしまいました。
ん? どういうこと?
「どうやら原因は山の水源じゃなくて、森の湖だったみたいだな。もしかすると地下水脈に流れ込んでいるのかもしれない。それが街の貯水池に流れ込んだ。それなら井戸水にも毒素が混ざっているのに説明がつくぞ」
よく分かっていない私に、ディーン兄が説明してくれました。
「え、これってレア物薬草じゃないの?」
薬師のおばあさんによると、薬草が群生した際に地中の毒素が薬草に吸収されないように、毒素を吸い上げる株が生まれるそうです。
その毒素の種類によって花の色が変わるとか……
「まあ、薬草を根こそぎ持ってくるとか、減点対象だけど今回は毒草を全部除去したんだからお手柄ね。報酬はないけど」
「え、なんでですか?」
「だって依頼出していないもの」
「で、でも……」
情報料を間違えたことを根に持っているんでしょうか。取り付く島もない感じです。
「ディーンさん。明日、陽が昇ったら湖へ浄化魔法を使える人を派遣します。護衛をお願いします」
「おう、任せておけ」
「ノノアちゃんは私の手伝いだよ」
「げ、何するんですか?」
「この毒草を使って解毒薬を作るんだよ。婆さん一人に徹夜で作業させる気かい?」
「……分かりました」
こうして街を騒がせた水問題は数日後には解決しました。
森の湖を浄化したことで、徐々に街の貯水池も元に戻りました。
私が徹夜でこき使われて作った解毒薬は、重傷者を中心に配られたようです。おかげで街の人の健康も元に戻り、街に活気が戻ってきました。
「ノノア、お疲れ様」
「ベアくんも大変だったね」
「徹夜明けに浄化魔法部隊に組み込まれるとは思わなかったよ」
疲労感と報酬の少なさから思わず寝込んでしまいましたが、今日からようやく復活です。
「お、寝坊助が起きて来たね」
「おばちゃん、いつもので」
「はいよ。頑張ったみたいだから今日はサービスしておくよ」
宿のおばちゃんも復活して、いつも通りの料理が食べられるようになりました。
目の前にはいつもより量の多い食事が運ばれてきました。
「うん、今日もご飯が美味しい」
ノノアのお気楽冒険者日記 明日はきっと @ASHITAHAKITTO
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます