百年に及んだ「人界大戦」を終わらせた勇者が、失踪から十年後、別の国の内戦の渦中にいる――。
そんな報せから始まるのが、この物語です。
読者がまず追いかけることになるのは、戦後の世界を生き延びてきた義手義足の何でも屋、グランツ。
彼がとある依頼を受け、勇者のいる国へ向かうところから、物語は熱を帯びていきます。
最初は「戦後の世界を描くハードな異世界ファンタジー」かなと思って読み始めたのですが、どうやら違ったようです。
本作は、英雄が世界を救ったその後を、別の場所で、別の傷を負った者たちの目から描いていく物語です。
とくに惹かれたのは、登場人物の立ち方でした。
見た目の印象、口調、戦い方、ふとした会話の端々、その全部が少しずつ噛み合って、その人の来歴や傷や矜持がにじむように見えてきます。
だから、派手な戦闘場面はもちろん見応えがあるのですが、それ以上に、任務前の雑談や視線の交差、何気ない受け答えが妙に印象に残るんです。
読者は「この人はどういうふうに生き延びてきたんだろう」と、自然に考えたくなります。
文章の雰囲気もとても好きでした。
無骨で乾いた空気がありながら、ときどき妙に人間くさい温度が差し込んでくる。その塩梅が絶妙です。
異世界ファンタジーでありながら、銃器や組織、内戦、政情不安といった要素がしっかり血肉になっていて、読み味も重厚。
誰か一人だけが世界の中心にいるのではなく、それぞれがそれぞれの事情で動いているからこそ、緊張感が途切れません。
「強いキャラが暴れる話」を期待しても楽しめると思いますし、それ以上に「戦争の後に残った人間たちの話」を読みたい人には、なお強くおすすめしたい作品です。
現在第二十三話まで読了。おもしろいです。
気づけば先を読みたくなります。
これからも追いかけさせて頂きます。
この作品は、「英雄」や「勇者」という言葉から想像する王道展開とは異なる、意外性のある物語でした。
世界観としては「魔法」が存在しながらも、軍や反政府組織といった近代的な要素が組み合わさった、思ってたよりもずっと近代的な世界観です。
よく見かける異世界転生系の剣と魔法が出てくる中世ヨーロッパの世界とは全く異なります。
物語は、かつて袂を分かった元勇者が反政府側の一員として活動し、それを主人公が政府側の立場から追うという、ハードボイルドな構図で進んでいきます。
銃器を駆使した熱いバトルシーンは圧巻ですが、それだけでなく街中の描写も丁寧で、アクション映画のワンシーンを文字に書き起こすとこんな風に表現できるかな、と思うぐらい細かく、場面が想像しやすく描いています。
美形キャラ中心の異世界ファンタジーとは一線を画し、マッチョな登場人物たちが作戦を立て、次々と敵地へ乗り込んでいく──現代風アクション映画やゲームが好きな方には、かなり刺さる作品だと思います。