第41話

一馬は『極光』を正眼に構え、周囲の闇を鋭く射抜きました。バイザーの警告音は鳴り止みませんが、マッピングと索敵には敵の反応はありません。


「敵じゃない……? なら、この『警告』はエネルギーの異常な密度に対してか」


一馬は慎重に、淡く発光する巨大な根へと近付きました。

レベル4へと到達し、バイザーの演算能力も向上したことで、彼のクラフトスキルは新たな領域――**「統合解析(インテグレート・アナウンス)」**へと進化していました。



一馬は、根の表面に触れながら新機能を起動しました。


【解析(アナライズ)】:八階層・原初樹「ユグドラシル・ルーツ」の一部。


【抽出(エキストラクト)】:純粋な魔力そのものである「原初樹液」を抽出可能。


【レシピ提案】:聖水および黄金の魔力片と調合することで、「一時的レベルブースト剤」の錬成が可能。



「……レベルを、上げる? それも自分の基礎レベルを……!」


解析結果によれば、この樹液から精製されるポーションは、**「5分間だけ自身のレベルを+1する」**という、この世界の理を覆すようなバフ効果を持っていました。


あの緑の人影に遭遇し、絶望的な力の差を見せつけられた一馬にとって、これほど魅力的な、そして恐ろしい劇薬はありません。


一馬は即座に【作業台】を呼び出しました。


「あいつに勝つためじゃない。あいつから『生き残る』ための切り札だ……!」


* 【抽出】: 『極光』の先端を細い針状に変形させ、根の隙間に刺し込む。琥珀色に輝く、粘り気のある極めて濃密な樹液を慎重に吸い上げる。


* 【調合】: 予備の『黄金の中級ポーション』をベースに、この原初樹液を滴下。凄まじい化学反応が起き、作業台からパチパチと青い火花が飛び散ります。


* 【加工】: 揮発性が高く、非常に不安定な液体を、ポーチ内の強化ガラス瓶に封印。


『クラフト完了:超中級ポーション「限界突破(オーバードライブ)・プロト」』

説明:服用後300秒間、身体能力・魔力出力・スキル精度をレベル1つ分底上げする。ただし、効果終了後に激しい倦怠感とレベルダウン(一時的)の反動を伴う。


「……できた。これ一本で、俺の今の限界であるレベル4.05を、一時的に『5』の領域まで引き上げられる」


一馬は、手の中で激しく明滅するその瓶を見つめ、ゴクリと唾を飲み込みました。


レベル5。それはトップ探索者たちでさえ一握りしか到達できない、超人の領域。ホームセンターの資材と、ダンジョンの深淵から引き出した素材が、ついに「禁忌」の扉を開きかけていました。


【現在のステータスと装備】

■ パラメータ

* 名前: 佐藤 一馬(24)

* レベル: 4.05

* 称号: 禁忌の技師

* 状態: 集中(新調した薬の扱いに細心の注意を払っている)

■ 装備品

* 武器: 魔導可変兵器・極光(アトラス・バスター)

* 新アイテム: 限界突破ポーション(オーバードライブ) ×1

* (ここぞという時のための最終手段)

* 防具: 白金生体聖護外套




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2026年1月13日 06:00
2026年1月13日 06:00

マイルームダンジョン 暇ジーン @kenpichi99

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