第13話:資料13【行事食計画書(クリスマス特別メニュー)】

実施日: 12月25日(土) 夕食

起案者: 管理栄養士 川井

決裁者: 施設長 千葉


【テーマ】

「聖夜の再生(リ・バース)」


【献立内容】


前菜: 紅白のテリーヌ


(※赤色の層には、12月初旬に入荷した「新鮮な若肉」のレバーペーストを使用。鉄分豊富で、若々しい活力を補います)


スープ: ビーツと髄液のポタージュ ~深紅の装い~


主菜: 特製ロースト・ウェリントン(パイ包み焼き)


使用食材: 千葉県産・熟成肉(個体識別番号なし・3週間熟成)


調理法: 低温ロースト。中心部は「限りなく生(ブルー)」の状態をキープすること。パイ生地で包むことで、焼成中に漏れ出る「叫び(肉汁の音)」を閉じ込めます。


デザート: ブラマンジェ ~ベリーソース添え~


【栄養課長(川井)コメント】


今年のメインディッシュは、非常に質の高い素材(検体N)を確保できました。

筋肉の繊維が細かく、ストレスなく処理されたため、絶品です。

入居者の皆様は、これを食すことで「失われた肉体」を取り戻すことができるでしょう。

なお、ミキサー食・ソフト食の方も、本日に限り「常食(固形)」で提供します。

大丈夫です。

彼らの歯は、もう生え変わっていますから。


【施設長承認印】


承認する。


ただし、外部の来賓(ボランティア等)には、絶対に別のメニュー(市販のチキン)を出すこと。


間違えたら殺します。


(手書きの付箋メモ:厨房スタッフ 船橋 宛)


肉の下処理中、右肩部分から「チタン製の破片」が出てくるかもしれません。


以前破損したミキサーの刃です。


異物混入になりますので、丁寧に取り除いてください。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

次の更新予定

2026年1月13日 04:04
2026年1月14日 04:04

『特別養護老人ホーム「百舌鳥(もず)の苑」栄養管理課・未処理ファイル』 雨光 @yuko718

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画