第4話 祝い唄

 やがて、祝い唄が大きくなった。


♪ ナニヤ~アヤラ ナニヤァド

 ひつぎの底は 地獄道

 蓋をしたなら 土ン中

 ヤァヤラめでたい 祝い唄 ♪


 すると・・それに合わせるように、女たちが私の周りに集まってきた。女たちが私の手足を取った。女たちが私を抱きかかえた。私は女たちに身体を委ねた。


 私の身体が持ち上がった。


 周囲のオレンジ色が揺れた。


 私は女たちに空の棺桶の横に運ばれた。そして、ゆっくりと棺桶の中に押し込まれた。


 私は朦朧としたまま、棺桶の中で仰向けになった。私の目に・・女たちが棺桶の蓋を手にするのが見えた。女たちは蓋を棺桶の上に持ってくると・・ゆっくりとかぶせ始めた。


 私は呆然とそれを見ていた。


 なんだか夢を見ているようだ・・


 祝い唄がさらに大きくなった。


♪ ナニヤ~アヤラ ナニヤァド

 棺の底は 地獄道

 蓋をしたなら 土ン中

 ヤァヤラめでたい 祝い唄 ♪


 蓋が棺桶の上を覆ってくる。棺桶の上で揺れ動くオレンジの光が次第に小さくなる。


 蓋が完全にかぶさる直前に・・女たちの声が私の耳に届いた。


 「蓋をして土に埋めて・・一週間たったら掘り出すのよ」


 「一週間後に熟成した、おいしい肉が食べられるわね」


 蓋が完全に棺桶の上にかぶさった。オレンジの光が消えた。祝い唄が聞こえなくなった。私の周囲が真っ暗になった。


 棺桶の木の壁を通して・・トントンと何かに釘を打つ音が身体に響いてきた。


           了




 

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死人棺桶祝い唄 永嶋良一 @azuki-takuan

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