第2話 真っ暗な坂道を30分以上徒歩!

 2025年元旦の夕方に私達がヒッテンキルヘンに到着した時には、日の短い冬なので、既に薄暗くなっていました。


 ヒッテンキルヘンは、ミュンヘンから南東に鈍行列車で1時間程かかるプリーエン・アム・キームゼー(Prien am Chiemsee)という駅から4.3キロメートル離れた場所にあり、キーム湖(Chiemsee)という大きな湖を見下ろす丘の上に位置しています。


 私達は車を運転できないので、ケチって駅からバスと徒歩で行くつもりでした。この記事のタイトルでお分かりになると思いますが、そこにとんでもない落とし穴がありました(単に無計画だっただけの自業自得)。


 その前の滞在場所からは、ドイツ鉄道(DB = Deutscheドイチェ Bahnバーン)傘下の普通列車を運行する鉄道会社DBデーベー Regioレギオ Bayernバイヤンのディーゼル列車に乗る予定にしていました。普段3両編成の列車を2つ繋げているうちの1編成が故障して残りの1編成で運行したので、混雑した上に10分ほど遅れ、ミュンヘンでの乗り換え列車を逃して1時間待つ羽目になりました。


 ちなみにミュンヘンまでのディーゼル車は、このDB公式サイトの写真みたいな感じの赤い列車です。写真でも3両編成の列車が2つ繋げられています:


https://regional.bahn.de/regionen/bayern/ueber-uns/wir-und-unsere-partner/dieselnetz-allgaeu


 ミュンヘンからはBayerischeバイヤリッシェ Regiobahnレギオバーンという私鉄(バイエルン地方鉄道とでも訳せましょうか)の青いディーゼル列車に乗りました。


 私達が乗った両方の列車には、ドイツチケット(Deutschlandticketドイチュラントチケット;2025年は1ヶ月58ユーロ、2026年1月1日からは63ユーロ)という乗車券が使えました。この乗車券では、ドイツ中の普通列車やバスなどの公共交通機関に基本的に乗り放題になります。この乗車券は毎月の定期購入でしか入手できませんが、毎月解約可能です。専用アプリで使用するのが一般的ですが、アプリを使わない人向けにはプラスティックのカードが発行されます。


 私達は行き当たりばったりだったので、プリーエン・アム・キームゼー駅からどうやってヒッテンキルヘンに行くか、よく調べておらず、タクシーか歩きで行こうと思っていました。プリーエン・アム・キームゼー駅に着いた後、スマホで調べたら1時間ぐらい待てばヒッテンキルヘンを通る路線バスがある事が分かり、例のドイツチケットを使えば追加料金なしで乗れるので待つ事にしました。


 ところがバスを降りてみて分かったのですが、ヒッテンキルヘンのバス停は大通りからヒッテンキルヘンへ登って行く脇道の入口にあるだけでした。脇道の入口近くに数軒建物があるだけでその先は街灯もない真っ暗な坂道が延びていました。そこからスーツケースをゴロゴロ転がしながら、林の中の道を30分以上も登って行かなければならず、怖いし、疲れるし、散々でした。そのルートのスクショを近況ノートに載せてあります:

https://kakuyomu.jp/users/Tazu_Apple/news/822139842252807804


 後でグーグルマップを見たら、バス停(地図上の「斜め右方向に曲がる」という表示のある所)からホテルまではたった1.6キロメートルです。でも道の周りは林で街灯が一切なくて真っ暗です。ドイツには野生の熊がいないからいいものの、日本だったら熊が出そうな真っ暗闇の山道(実際は丘陵を登って行く道)が怖いし、上り坂で疲れるし、(自業自得ですが)酷い目に遭いました。


 そんな道でも時々車が私達の行く方向へ向かって通って行きました。誰か停まって乗せて行ってくれないかなーなんて甘い事もちらりと考えなくもありませんでしたが、林の中の真っ暗な道を行く歩行者なんて、自分で考えても怪しさ満載です。ヘッドライトの光の中に突然私達の姿が浮かび上がったのが見えた時、ドライバーもぎょっとしたでしょうね。


 林の中の一本道を上って行く間、星が夜空にたくさん綺麗に見えましたが、気温0度で真っ暗な場所では堪能する気力が出ませんでした。それでも近況ノートに載せられないかなと思って写真を撮ってみたんですが、三脚なしのスマホでの撮影では真っ暗な画像しか撮れませんでした。


 ゼーハー言いながらやっとホテルに着いた時には、2人ともヘロヘロでした。

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