誕生祝いが届き続けて

kei

誕生祝いが届き続けて

子どものころ、誕生日をひとに祝われたことがあまりなかった。そもそも冬休みの期間だったからだ。


毎年届いたあの不気味な誕生祝いは、私の誕生日を祝うものではなかった。


なぜなら、私の誕生日から半年ほどずれた、何の関連もない日に届くからだ。


それは、私が十歳の夏のことだった。私宛に届いた荷物を疑いもせずに開くと、バースデーカードとともに、とても手触りのよい、首に臙脂色のビロウドのリボンが巻かれたクマのぬいぐるみが入っていた。


当然、誕生日ではない。誰かと間違えて届いたにしても、私の住んでいた集合住宅に、他に子どもはいなかった。


送り主の名前にも、家族の誰も見覚えがない。不気味だからと取り上げられて捨てられ、私に届いたのにと泣いたものだった。


それは毎年届いた。送り主の名前は毎回違った。しかし、開ければバースデーカードと年齢相応なプレゼント。プレゼントが安物ではないことは見ただけでわかった。


四年経つ頃には、その日に箱が届いた時点で親が処分するようになっていた。中身は売っていたのかもしれない。


十八になり、進学で家を出ることになった。これでもう届かなくなる、と思ったが、家族以外に教えていないはずの住所に、それは届いた。


中身は、例年通りのカードと、まるで趣味に合わないアクセサリーだった。その場で吐いた。


受け取り拒否をすると本人に通知が行くそうで、住所が知られている以上、本人を刺激するのは怖かった。一度受け取り、開かずにそのまま捨てるのが一番心の平穏を保てた。ゴミの分別が出来ないことが気がかりではあった。


この程度で警察に相談しても取り合って貰えるのかわからなかった。


ある日、同期の恋人に相談すると、そんなに怖いならその日はうちに来るか、と言ってくれた。


翌年のその日、朝から彼の家で並んで映画を観て、なるべく意識の外に追いやろうとした。一歩も外に出ないつもりだった。


呼び鈴が鳴って、ご飯が届いたかな、と、彼が出た。彼が抱えて戻ってきたのは、例の箱だった。


誰かにここに来るって言ったか?言っていないよ。怖いから捨てよう。


そんな話をしているうちに、なんだか変な音がした。嫌な予感がして、布団を被せて外に連れたって出ると、部屋のなかで爆発する音がした。


警察沙汰になった。こちらは被害者なのに長く時間を取られ、帰る頃には暗くなっていた。


面倒がられても、別れ話になっても仕方ないと思っていたのに、彼は逃げなかった。


その数年後、彼と家庭を持つことになった。


これまでの経緯から、苗字が変わったくらいで届かなくなることは無さそうにも思えたのに、その年は例の誕生祝いが届かなかった。


私の娘は、その翌年の、いつも荷物が届いてきた日に生まれた。


その日だけはと泣いて懇願しても、何を言っているのかと思われてしまうだけだった。


いまは、この子が十歳になるのが、怖い。

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