「典型SF」を集める ―― 本棚、企画ご参加へのお礼
- ★★★ Excellent!!!
本作はとても読み応えがあり、個人的に非常に面白く感じました。
特に印象的だったのは、サバイバルにおける思考と行動の積み重ねが、終始一貫して現実的かつ合理的に描かれている点です。
水・電力・熱源といった優先順位の判断、
インフラ停止までの時間を逆算した行動、
生存空間を縮小して資源を集中させる判断など、
どれも「その状況なら、そう考えるだろう」と自然に納得できるものでした。
また、すべてが完璧ではなく、
後から気づくミスや判断の遅れも含めて描かれていることで、
主人公が“賢すぎる存在”ではなく、現実にそこにいる一人の人間として感じられたのも良かったです。
感情描写は丁寧ですが、それが物語を支配することはなく、
世界の条件と制約が先にあり、その結果として感情が生まれている構造になっている点に、強いSFらしさを感じました。
全体として、派手さよりも思考の積み重ねと必然性で読ませる作品であり、
厳密で、知的で、信頼できるサバイバルSFだと思います。