「典型SF」を集める ―― 本棚、企画ご参加へのお礼
- ★★★ Excellent!!!
読むという行為は、ひとつの観測なのだと思います。
私にとっては、「観ること」と「測ること」の両方を含んだ行為です。
そして、理解することは、その観測結果をどう引き受けるかという判断でもあります。
私自身、観測するという行為そのものに強い関心があり、
だからこそ、観ること、測ること、考えること、判断し、説明することが好きなのだと感じています。
本作の視点に強く惹かれたのは、まさにこの「観」と「測」を中心に据えた語り口だったからです。
本作は、私の好む三人称視点の作品でした。
登場人物の感情に深く踏み込むのではなく、人物や出来事、そして時代そのものを、一定の距離を保ったまま見つめ続ける姿勢が一貫しています。
語り手は、いわば記録者の立場に立ち、人物・事件・歴史を配置し、分析し、淡々と書き留めていきます。
そこには過剰な内面描写や感情の強調はなく、あるのは整理された記述と、純粋な「観」と「測」だけです。
その読み心地は、原著小説版の 三体 を読んだときに感じた、
世界を少し外側から静かに観測している感覚を思い起こさせました。
読者は物語に没入するというより、ひとつの観測点に立ち、出来事の推移を見届ける側に置かれます。
この距離感と語りの節度が、読後に大きな余韻を残し、
観ることと測ること、そして判断とのあいだにある距離について、静かに考えさせられました。
静かでありながら、確かな手触りの残る作品だと思います。
ぜひおすすめしたい一編です。