★
0
概要
――その「七不思議」は、人を殺すための呪い。
京都、下京区の路地裏。古びた雑居ビルの一室に、看板のない事務所がある。『九条遺失記録編纂室』。そこに住まうのは、名家を捨て、独りで京都の「歪み」を記録し続ける美しき編纂官・九条栞。そして、彼女に拾われ、何も知らずに助手として日々を紡ぐ大学生・九条陽奈。「夜は外には出ないこと。そこは、境界が曖昧になるから」。叔母である栞の厳命を破った夜、陽奈の日常は終わりを告げた。自販機の取り出し口から溢れ出したのは、温かい飲料ではなかった。それは、街の皮膚の下で蠢き始めた、凄惨な呪い合いの幕開けだった。鉄輪の井戸、一条戻橋、三条の幽霊松……。古都の観光名所に隠された「七不思議」の正体は、特定の動作で起動し、標的の存在そのものを抹消する自律型呪詛。七つの「根付け」を手にした所有者たちが、京都という盤上で殺し
おすすめレビュー
書かれたレビューはまだありません
この小説の魅力を、あなたの言葉で伝えてみませんか?