第6話 エリザの剣
「エリザさん、あの時に頼まれたあんたの武器を持ってきたぞい!」
ゲレオンが気さくな笑顔でエリザに話しかける。初めて集落を訪ねた時とは全く違うゲレオンにエリザは少し戸惑った。
「あ、あぁ、そんな話もあったな」
エリザはオードブルを摘まみながらぼんやりとした返事をした。何しろ別れ際に「今度あたしの武器も作ってくれよ」と軽い挨拶のつもりで言ったのだ。まさか、本当に作ってくれるとは思いもしなかったのである。
「なんじゃ、その反応は。作ったワシが言うのもなんじゃが最高傑作じゃぞ!」
ゲレオンは大きな袋からゴソゴソと一振りの大剣を取り出し、エリザに手渡す。それを受け取った瞬間、エリザのテンションが爆上がりした。
「おお!? こりゃすげぇ! バスタードソードだな。あたしの戦闘スタイルにピッタリだ!」
エリザが鞘に入った大剣を嬉しそうに色んな角度から眺めて言うと、ゲレオンが人差し指を立てて左右に振る。
「チッチッチ、そんじょそこらのバスタードソードではないぞい」
ゲレオンは不敵に笑う。
「まさかドラゴン特効なんぞつけておらんじゃろうな」
突然、背後からヴェラがゲレオンに
「め、め、め、
ご機嫌だったゲレオンがビシッと直立してヴェラに答える。
「こら、ヴェラ。あたしの武器にケチつけるんじゃない。ドラゴン特効なんかなくてもいつでもやってやるぞ」
一触即発な雰囲気で対峙する二人にハラハラするゲレオン。それを見てアルが間に立つ。
「二人とも、いい加減にしないと……」
アルの台詞の途中で慌ててエリザが話を変える。
「ゲ、ゲレオン爺さん、どんな機能があるんだ?」
「え? あぁ、この剣には魔法を吸収できるのじゃ!」
ゲレオンがどうだと言わんばかりに胸を張る。
「爺さん、あたしは魔法使えないんだぞ? そんな効果を付けても無駄じゃないか」
エリザが困ったような顔をする。
「何を言っておる! あんたには最強の魔女デリルちゃんが付いておるではないか!」
ゲレオンはそう言ってデリルを呼ぶ。他の招待客と話していたデリルが不思議そうな顔で近付く。「使い方を説明しよう。エリザさん、剣を抜くのじゃ」
「お、おう、これで良いか……うわっ、すげぇ剣だな!」
エリザは鞘から抜いた刀身を見て目を
「デリルちゃん、この刀身に魔法をぶつけてくれんか」
ゲレオンがデリルに指示をする。
「魔法? じゃ、いつもみたいに雷でも落とそうかしら、それっ!」
デリルの指から
「ふふふ、これでサンダーソードの完成じゃ!」
ゲレオンが不敵に笑う。よく見るとバスタードソードの刀身全体が帯電している。
「おおっ、サンダースラッシュの時と違って身体に負担が掛からないのが良いな!」
これまで戦斧に雷を落としていた時はエリザにもかなりのダメージがあったが、この剣ならば全て刀身が吸収してくれる。
「これで終わりではないぞい」
ゲレオンはエリザの反応を見ながらさらに続ける。「鍔の所に青い
「ん? これか?」
エリザが青い釦を無造作に押す。
「刀身に魔力を閉じ込める釦じゃ。鞘にしまう時にはこれを押してからしまうのじゃぞ」
ゲレオンに言われてエリザは剣を鞘にしまう。
「こりゃすげぇ剣だな、爺さん!」
エリザが感動してゲレオンに言う。
「まだまだ、ここからじゃよ」
ゲレオンはそう言って辺りを見回した。「ここでは危ない。もう少し人の居ないところがえぇのう」
「じゃ、庭に出ましょ」
デリルはゲレオンたちを庭に案内する。屋敷の入口から門までは石畳が敷かれており、馬車で入口に横付けできるようになっている。馬車が旋回出来るようにぐるりとロータリー状になっており、その中心にある豪華な噴水が来客たちを楽しませていた。
「屋敷の中も凄いが外も凄いのぅ」
ゲレオンはキョロキョロと庭を見渡す。
「ネロくんの為に作った
庭から少し裏手の方に歩いていくと、囲いで区切られた一角が見えてきた。
「ふむ、ここなら大丈夫じゃろう。では改めて説明を続けるぞい」
ゲレオンはエリザを見る。「剣を抜いてみなされ」
「お、おう、そうだな」
エリザは鞘から剣を抜いた。抜刀とともにブーンと帯電したような音がした。
「あらかじめ魔法を込めておけば鞘から抜くだけで魔法剣として使えるのじゃ」
ゲレオンは驚愕の表情を浮かべるエリザを満足げに見る。エリザは何度か剣を振って具合を確かめてみた。
「こりゃすげぇぞ! ずっと帯電してやがる!」
「鞘に収めている間は魔力を放出する事は無いから数日経っても大丈夫じゃ。ただ……」
ゲレオンはそこまで言って口ごもる。ここまで凄い剣を作ったというのにどうしたと言うのだろう。「ちょっとした弱点があるのじゃ」
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豊満熟魔女デリルと豊かな仲間たち~王都の悪夢と冥界の使者~ 江良 双 @DB1000
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