​別れは、終わりではない。


​壊れてしまった青年の記憶を呼び覚ます、歌の力。それは彼を立ち止まらせ、あるべき姿へと引き戻してくれました。
別れが終わりではなく、彼自身もまた終わっていないとき、歌い手が彼に託した想いは、ついに実を結んだのです。
​この短編は、一人の男が普通の人としての「最期の命綱」を断ち切ろうとした瞬間、古本屋から流れてきた歌声によって大切な人を思い出し、思いとどまる姿を描いた、非常に感動的な物語です。
​息苦しさの描写が見事で、キャラクターが涙を流す姿が目に浮かぶようでした。
そこにある慰めと許しは、読む者の心を温めてくれます。
「私たちは、まだ生きていける」――読者にそう確信させてくれる、素晴らしい物語です。

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