美しき「死」よりも泥臭き「生」を。高尚な悲劇を食い破る、圧倒的生命賛歌

第1部で描かれたアルテミアたちが、作者(ジョン)の理想のために消費され、本の背表紙にも満たずに消えていった「美しいアイデアの残骸」だとすれば、第2部の語り手であるブラックバスは、泥(現実/推敲の過程)にまみれても生き残り、形を成した「物語そのもの」なのではないでしょうか。

ザリガニとの死闘、ジョンが去った後の飢え。それらすべてを糧にして太り、傷つきながらも生き延びた彼は、最後にこう告げます。

「俺を喰らえ」と。

これは、物語が読者に対して叩きつける、最強の挑戦状であり、愛の告白だと思いました。

「美しく死ぬこと(高尚な文学性)」よりも、「泥にまみれても誰かの腹を満たすこと(エンターテインメントとしての生存)」を選ぶ。

スーツの男たちが彼を「食える(売れる/価値がある)」と判断したところが、すべてなのかなと思いました。