伝説の剣を手に彼は戦う!スポドリを得るために!
- ★★★ Excellent!!!
読んでいてずっと不思議だったのは、ダンジョンの中の話なのに、気持ちがあまり荒れないことです。
魔獣に襲われ、食べ物に困り、出口も分からない状況のはずなのに、文章にはどこか落ち着きがある。
それはたぶん、この物語が「勝つ話」ではなく、「生きる話」だからだと思います。
包丁を握る手の感覚や、食べ物を口にしたときの安心感が丁寧に描かれていて、読んでいる側も一緒に呼吸を整えていくような感覚になります。
特に、食べる場面がいい。
空腹を満たすだけではなく、「ああ、助かった」と思える気持ちまでちゃんと書かれている。だからシチューや飲み物が出てくるたび、戦利品というより生活の一部のように感じられます。
強さを誇る物語ではなく、感覚と生活の延長で生き抜いていく話。