昼の海を渡る音

海沿いの小さな町にある、パン屋「群青ベーカリー」。

ここは、出ていった人と、残った人と、戻ってきた人が、
ほんの一瞬、同じ時間を過ごす場所。

夢を追って町を離れた男。
ここに残り続けた女。
そして、ただ静かにパンを焼き続ける店主。

誰もが何かを選び、何かを選ばなかった。
その答えは、言葉にならないまま、海に預けられていく。

本作は、ひとつの町、ひとつの店を軸に描かれる群像小説。
単体で完結しながらも、
読み終えたあと、別の物語へと静かに渡っていく余韻を残す。

――昼の海を渡る音は、
きっと、あなたの中でも鳴る。