霊子
脳幹 まこと
霊子
アスファルトは冷たく、硬い。そこに頭を叩きつける。
乾いた音が数回響き、やがて固い殻に細い亀裂が走る。その裂け目に両手の親指を深くねじ込み、左右に力を込めて押し広げる。
中から
歩道には同じようにして、中身を失った殻が転がっている。私はそれら一つひとつから
泡立て器を手に取り、無機質な動作でボウルの中をかき混ぜる。
右へ、左へ。
個体であったはずの
作業に感情は介在しない。ただ、最適な粘度になるまで腕を動かし続ける。
やがて、十分に練り上げられたそれを、巨大な
最後に、三ヶ月目になったばかりの赤褐色の
これは、ただ一つの、巨大な
鋳型の底で、液体はゆっくりと、しかし確実に固形へと変質していく。表面には
完成したそれは、脈打つこともなく、ただそこに静止している。
私は待った。
一時間。半日。やがて丸一日が過ぎる。
巨大な膜の表面に走る赤い筋は、次第に黒ずみ、乾いた地図のような模様へと変わっていった。内側から響くはずの拍動は、いつまでも訪れない。
耳を押し当てても、そこにあるのは私自身の鼓動だけだ。
やがて乾燥した膜に最初の
それはまだ眼球ではなかった。ただ、眼球になろうとして、なれなかった
私は銀色のボウルを洗い、泡立て器についた粘膜を指で拭う。
私は次の
霊子 脳幹 まこと @ReviveSoul
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