スクランブルエッグ・カレッジ

　次の記事を待ってるよと部長に強制的に背中から廊下へと押しだされた。

　しぶしぶ寮まで帰っていく。

　昨日と違って、運動部の練習が行われている。

　そういえば、安全のために一部の課外活動を中止したと聞いた。

　僕が書いている連載記事はなんなんだろうか。

　少なくとも、誰かの思い出になるために書いているわけじゃない。

　でも、僕にとっても飛鳥井にとっても歓声をあげた誰かにとっても事実だった。

　僕にはなにも説明しきれないが、嘘の出来事をでっちあげたわけじゃない。

　モキュメンタリー？

　あれは擬似的な記録映像を文章化したものだから、内側には入れない。

　当然ドキュメントでもない。

　擬似的な文章、そのとおりかもしれない。

　いうなれば、Ｐｓｅｕｄｏ（シュ）―（ー） ｄｏｃｕｍｅｎｔ（ドキュメント）といったところか。

　うん、と頷く。

　ロケットの上がってない空はどこまでも青かった。