第4話 ### 魁!! 締切塾(さきがけ!! しめきりじゅく) **~地獄の「富士山麓・原稿合宿」編~



***

**


**【場面:旅館の一室】**

窓の外には雄大な富士。しかし室内は殺気に満ちていた。


**編集鬼先輩(卑劣!)**

「ククク……逃げても無駄よ。

貴様がこの老舗旅館の布団で惰眠を貪っている間に、私の『赤字(レッド・ペン)』が貴様のプロットをズタズタにしてやったわ!!

喰らえ!! 奥義・**『没(ボツ)・連・打』!!!**」


**ドガガガガガッ!!**

(編集鬼が放つ、無数の「書き直し」メールの衝撃波!)


**【対する原稿(作家)】**

(浴衣の袖をまくり、閉じたノートPCを棍のように構える男。その目は堅く閉じられている!)


**原稿(ゲッコー)**

「……フッ。無駄なことだ」


**編集鬼先輩**

「な、なにぃ!? 私の『没』攻撃が効かないだと!?」


**原稿(ゲッコー)**

(カッ!と見開いたその目は、焦点が合っていない! まだ寝起きだからだ!)


**原稿(ゲッコー)**

**「この原稿(ワタシ)、生来 目が見えん。**

**故に貴様の放つ『締切』や『催促』など……一切見えぬわぁぁーーっ!!」**


**ズバァァァァーーーン!!**

(心眼による「現実逃避(エスケープ)」の一撃!)


**【実況席】**

**新米仲居**

「な、なんだあの技はーーーっ!!

ただ『寝ぼけて現実を見ていない』だけなのに、編集者のプレッシャーを完全に無効化しているぅぅーーっ!?」


**新米仲居**

**「し、知っているのか!? 女将ーーっ!!」**


**【解説役:女将(雷電)】**

(腕組みをし、富士山を背に厳かに頷く)


**女将**

**「うむ!!」**


**女将**

「あれこそは、中国拳法史上、最も恐れられた防御法……

**『睡魔遮断(すいましゃだん)』!!**」


**新米仲居**

「す、睡魔遮断!?」


**女将**

「古(いにしえ)の中国・戦国時代。

兵士たちは過酷な戦場で精神を保つため、極限まで睡眠をとることで脳内の『嫌な現実』を視覚情報から遮断したという。

その効果は絶大で、敵の大軍(締切)が目の前に迫ろうとも、彼らの目には**『まだ5分寝れる』**という桃源郷しか映らぬという……」


**女将**

「まさか、この現代の河口湖で、その奥義の使い手に出会おうとはな……」


**――民明書房刊『寝る子は育つが原稿は育たぬ』より――**


***


**【結末】**

**編集鬼先輩**

「ええい! 御託はいい! 物理攻撃だ! **『水(お冷)』**を持ってこい!!」


**バシャァァァッ!!**


**原稿(ゲッコー)**

「ぶへっ!! 目が開いた!!」


**女将**

「……勝負あり、じゃな」

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『原稿から逃げて高級旅館に来たのに、爆睡して目覚めたら枕元に担当編集が立っていた件』 志乃原七海 @09093495732p

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