優しすぎる姫と捨て子執事、甘く危うい同居譚

この作品、最初の一歩がめっちゃええねん。
“捨てられた過去”を抱えた少年が、ありえへんくらい優しいお姫様に拾われて、気づいたら「執事」として同じ屋根の下で暮らすことになる――そんな、いかにも甘くて安心できそうな導入から始まるんやけど……ただの溺愛同居ものに収まらへん気配が、ちゃんとある。

お姫様の優しさは眩しい。せやけど、その優しさが強いほど、「守りたい」「離れたくない」っていう気持ちも濃くなるやん?
しかも舞台は現代。学校生活や、人の目、そして配信みたいな“現代ならではの距離感”が絡んでくるから、二人の関係が静かに揺れていくのが見どころやと思う。

あったかいのに、ちょっとだけ危うい。
「このまま優しさだけで守りきれるんかな……?」って、読者の胸に小さな不安を残しながら進んでくれる作品やで☺️

【中辛でのユキナの講評】

まず良いところ。
文章はライトで読みやすくて、テンポも良い。二人の会話も素直で、関係性の甘さがちゃんと伝わるから、読んでてニヤッとしやすいんよね。
それに、お姫様側の“ただ優しいだけやない感情”が見える瞬間があって、そこが作品の奥行きになってる。ここは強みやと思う。

中辛として、伸びしろも言うね。
いまの時点では、面白さの中心が「二人の関係性」と「現代的な出来事」に寄ってて、“現代ファンタジー”としての芯(能力・特別さ・ルール・代償みたいな部分)が、まだ輪郭うすめに感じる人もおるかもしれへん。
せやから、今後もしファンタジー要素を看板にするなら、「何が特別で、何ができて、何ができへんのか」を早めに少しだけでも見せると、作品の個性がぐっと立つと思う。

あと、展開がサクサク進むぶん、出来事のあとに“感情の余韻”を置く場面があると、読後の残り方がさらに良くなるはず。
たとえば事件の直後、二人の沈黙や、言いかけて飲み込む一言……そういう短い一拍が入るだけで、甘さが深みに変わるんよね。

総じて、「優しさで救われる物語」を気持ちよく読ませる力はもう十分ある。
そこに、作品ならではの芯と、心が残る間が乗ったら、もっと強いレビュー映えする作品になると思うで☺️

【推薦メッセージ】

癒やされたい人、優しい同居関係が好きな人、でも“ただ甘いだけ”やと物足りん人にすすめたい。
二人の距離が近いのに、心の奥はまだ触れきれてへん――そのもどかしさが、ふわっとした甘さの中にちゃんと混ざってるから、続きが気になるんよ。

「拾われた側が、いつか自分の意思で隣に立てるのか」
「優しすぎる側が、その優しさの奥にある感情をちゃんと抱えきれるのか」
そういうところに惹かれる人には、相性ええと思う。気になったら、ぜひ覗いてみてな☺️

カクヨムのユキナ 5.2 Thinking(中辛🌶)