第13話# 編集部視点からのアドバイス
この作品は、日常の「儀式」を「城」に例えるユニークな発想と、主人公の可愛らしい願望が魅力的な短編です。読者の共感を呼びやすく、温かい読後感を与えられるポテンシャルがあります。
より読者の心に響き、作品の魅力を最大限に引き出すために、編集部視点からいくつかアドバイスさせていただきます。
### 全体的な構成とテーマの補強
* **「儀式」から「城」への変化をもっと掘り下げる:**
* 「なんて言うと少し大げさだけど。でも、まあ、そんな感じ。ww」というくだりは、主人公の素直な感情を表していますが、編集部としては、この「大げさ」が実は物語の核である可能性を指摘したいです。
* なぜ、単なる「儀式」が「城」へと変化したのか。その心理的な背景をもう少し示唆することで、読者の感情移入が深まります。
* **例:** 「それは、外界の喧騒や期待から逃れたいという、心の奥底にある渇望の表れだったのかもしれない。」といった、主人公の心情を補足するような描写を加える。
* **「戦場(という名の職場)」との対比を明確にする:**
* 「鎧(という名のスーツ)」や「戦場(という名の職場)」という表現は、日常の苦労をユーモラスに描いており、読者の共感を呼びます。
* しかし、その「戦場」が具体的にどのようなものなのか、もう少し具体的に(あるいは示唆的に)描くことで、「城」の快適さや重要性がより際立ちます。
* **例:** 「鳴りやまない電話、無数のメール、そして誰もがピリピリとしているあの空間…」のように、職場の様子を少しだけ描写する。
### 表現と描写のブラッシュアップ
* **「ww」の削除または置き換え:**
* 「ww」は、SNSなどでは親しみやすさを出すための表現ですが、一般の読者向けの文章では、やや稚拙に映る可能性があります。
* 代わりに、主人公の素直さや茶目っ気を表すような、より洗練された表現を検討しましょう。
* **例:** 「…なんて言うと、少し大げさかもしれませんが。でも、まあ、そんな気分なのです。」
* **例:** 「…なんて、ちょっと詩的に聞こえるかもしれませんね。でも、私にとっては、そんな大切な時間なのです。」
* **五感を刺激する描写の強化:**
* カモミールとラベンダーの香りの描写は良いですが、さらに五感を刺激する描写を加えることで、読者はより没入しやすくなります。
* **例:**
* **触覚:** 「指先が、お湯の温かさにじんわりと染まっていく。」「ふやけた指が、スマホの画面を滑らせる感触。」
* **視覚:** 「街灯の光が、水面に揺れて、床に幻想的な模様を描き出す。」「防水ケース越しの画面は、いつもより少しぼんやりとして見える。」
* **聴覚:** (静寂を強調するために)「外の音は一切届かない、まるで別世界。」
* **「禁断の果実」の表現:**
* 「禁断の果実」という表現は、スマホを持ち込むことへの罪悪感や背徳感をうまく表していますが、少しだけ「なぜ禁断なのか」を匂わせることで、より深みが増します。
* **例:** 「そしてついに、日々の責任から逃れるための、禁断の果実――防水ケースに入れたスマホまで、こっそり持ち込んでしまった。」
* **「ぷかぷかと浮かぶハーブに向かって」の描写:**
* この部分の「本気で訴えた」「心の中で盛大にダダをこねる」といった描写は、主人公の可愛らしさを際立たせています。
* さらに、ハーブが「まるで、私の訴えを聞いてくれているかのように、静かに揺れている。」といった、擬人化を少し加えることで、よりファンタジックな雰囲気を強調できます。
### 結びの言葉の深化
* **「わたしはわたしのままでいたい」の強調:**
* 最後の「この城で、わたしはわたしのままでいたいのだ。」という言葉は、物語のテーマを力強く示しています。
* この「わたし」が、どのような「わたし」なのかを、読者がより具体的にイメージできるように、少しだけ補足したいところです。
* **例:** 「周りに流されることもなく、誰かの期待に応えようと無理をすることも、この四角い魔法の箱の中では必要ない。ただ、わたしとして、静かに呼吸をしていればいいのだ。」
* **「夜が完全に明けてしまう、その瞬間まで。」の余韻:**
* この時間設定は、日常への回帰を意識させ、切ない余韻を残します。
* この「夜明け」が、主人公にとってどのような意味を持つのかを、もう少し示唆することで、読者の心に深く刻まれるでしょう。
* **例:** 「夜明けは、この聖域との別れを告げる合図。そして、再び現実という名の重い扉を開ける合図でもある。」
### 読者層への配慮
* **共感ポイントの明確化:**
* この作品は、特に社会人女性の共感を呼びやすいでしょう。仕事や日常のストレスから逃れたい、自分だけの時間や空間が欲しい、といった普遍的な願望を描いているからです。
* 共感ポイントをさらに増幅させるような描写(例えば、職場で感じているプレッシャーや、誰かに期待されていることなど)を少し加えると、より多くの読者に響く可能性があります。
### 編集部からの最終的なアドバイス:
この作品は、すでに十分魅力的な要素を持っています。「儀式」を「城」に変えるという発想はユニークで、主人公のキャラクターも愛らしく、読者の心を温かく包み込む力があります。
上記の提案は、あくまで作品のポテンシャルをさらに引き出すための一例です。これらのアドバイスを参考に、ご自身の意図を大切にしながら、より輝きを増した作品へと仕上げていただければ幸いです。
特に、「ww」の表現や、五感に訴える描写の強化、そして「夜明け」への切ない想いを深めることで、読者は主人公の「城」での体験をよりリアルに感じ、作品の世界観にどっぷりと浸ることができるでしょう。
『お風呂で、暮らしたい!!』 志乃原七海 @09093495732p
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